第4話

 3階層はゴブリンを5匹倒せばいい。

 個体ごとに装備している武器が異なるが、ナイフにロングソード、弓矢やメイス、ハンマーなどと全て物理攻撃を主体とするもので統一されている。

 武器の特性を活かした攻撃のみしかしてこず、簡単に言えばこのゴブリンたちがお手本となってくれるのだ。

 低確率ではあるものの武器のドロップもある。

 しかし、どれも一番最初の町で安く購入できるのでここでドロップを狙う意味はない。

 というよりもチュートリアルの塔で長居するメリットなんて皆無に等しい。

 モンスターを倒せば経験値を得ることもできるが、わざわざここでレベリングする意味もない。

 どんなに下手なプレイヤーでも1日あればチュートリアルを終わらせる難易度に設定されてるし、救済措置だってある。


「おっ、もう出たのか。廃人プレイが染みついてる俺にとっては苦でもなかったな」

 チュートリアルの塔3階層、二日目にして狙っていたアイテムがドロップしてくれた。

 スキル付きのアサシンナイフ、ルミナスオンラインではステータスよりもアイテムの重要度が非常に高い。

 というのもアイテムにはスキルが割り振られていて、それらの多種多様なスキルをどう活かすかがこのゲームの真骨頂なのだ。

 ドロップアイテムだとついているスキルがランダムでアサシンナイフは五種類のスキルとスキルなしに分けられ、さらにその中でも狙っていたスキルが最も当選率が低かったので、こんなにも時間がかかってしまった。


「ねぇねぇ、早く次の階層に行こうよぉ〜」

「言われなくてももうこの階には用はない」

 頭の上に乗っかっている金髪エルフを小さくしたような羽を生やした小人は救済措置の妖精だ。

 一日経ってもチュートリアルの塔から出ていないプレイヤーにアドバイスをしてくれる妖精なのだが小言がうるさい。

 オフにすることもできるがこいつは中々に使えるので多少うるさいのは我慢する。


「この階では色んな属性の下位精霊が出てくるからね、魔法には気をつけてね、あのトカゲは火の下位精霊で、あのハリネズミは氷の下位精霊でしょ、それからそれから……」

 2階層では魔法についてのチュートリアルになる。

 救済措置の妖精が早口で説明してくれるが正直必要ない。

 属性にはそれぞれを象徴とする特性があり、火なら燃焼、氷なら凍結など、まぁ直感的にわかりやすいように設定されている。


 倒せばそれぞれの属性の精霊の小石をドロップする。

「ねぇねぇ、それを投げてみてよ」

 精霊の小石(火)を投げると着弾と同時に小さな火柱が上がる。

 控えめにいっても戦闘で使えるような威力ではない。


「はい、これ、投げた分返しとくね」

 救済措置の精霊が精霊の小石(火)を俺にくれる。

 さすがは救済措置の精霊だ。

「てかっ救済措置の精霊って名前ダサいし長いよな」

「えっ……」

 やべっ、口に出てたか。

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