練習用短編集
Yujin23Duo
救世主の話
こんにちは、僕は大学生一年生です。
僕は様々な授業を履修しており、その中のある授業に備えて本を借りに行きました。
大学内の図書館のロビーはいつも通り静かで、見渡す限りおとなしい人や真面目な人ばかり。
しかも黒い床、壁、天井に加えて、上から吊り下げられたチューリップのようなシャンデリアと相まって独特な空気感がありました。そこからロビーを通ってオススメの書籍等が置かれたコーナーを通り、私はお目当ての本がある、おしゃれな床以外は殺風景な本がびっしりつまった場所に付きました。
お目当ての本の番号は、事前に図書館公式サイトにて調べていて割とスムーズに見つけることができました。
そこから図書館司書の方へ行って借りようと思ったのですが、本を借りるには学生証が必要でそれは鞄の中に入っていました。
でも鞄を降ろそうとすると本が邪魔で仕方がない。
なので本を何処かに置こうと思い、ふと目に入った近くのテーブルに本を置きに行きました。
その時でした。
「コッ」という乾いた音が図書館中に鳴り響きました。原因は私です。
本を置こうとしたときに少し雑な置き方をしたために起こったことでした。
冗談ではなく図書館の中は私が本を置くまでは一切音が無かったのです。そのためこの音は余りにもハッキリと鳴り響きました。
このとき私は少しだけ思考を停止していましたが、ハッとなり一瞬で恥ずかしい気持ちと「なぜこんな雑に置いてしまったんだ」という後悔でいっぱいになりました。
その時の私は下を向いた姿勢のまま一ミリも動かない状態で、まるで置物のようでした。というより置
物でした。
(あぁ…僕はこのまま置物として一生を全うするしかないのか)と思った瞬間
救世主が現れました。
多少抑えてはいるもののガッツリ聞こえまくる笑い声と話し声が聞こえたのです。声の主はウェイ系の女子達でした。僕の目からは彼女らが光り輝いて見えました。
傍から見たら大迷惑な奴らかもしれませんが、僕にとっては救世主のようだったのです。
そんな彼女らの行動に安心した自分は、意気揚々と本を借り、意気揚々と図書館から出ました。
これが最近のキャンパスライフの話です。
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