『ぎょらん』

 町田そのこさんの『ぎょらん』


 掃除もせずに一気読み。

 そう、読む手が止まらないのです。

 

 お話はこんな感じ。


 人は死ぬ瞬間に強く思ったこと(願ったこと)が小さな赤い珠となって、この世に残る。それを『ぎょらん』という。

 肉体の消失と共にこの世から消える『ぎょらん』は、必ず現れるものではない。


 親友が死んだ。その朽ちた遺体に見つけた『ぎょらん』

 朱鷺ときは、それを口にした。そして、親友の最期の想いを知り、苦しみ・悩み、すっかり引きこもりになってしまった。


 妹の亡くなった彼の『ぎょらん』を探しに行ったことをきっかけに、葬儀会社に就職し立ち直ろうとする朱鷺。そこで、なんの因果か何度も『ぎょらん』に遭遇することになる。


 『ぎょらん』は、本当に死者の最期の想いなのか?

 遺された者が作り出した妄想か?


 不倫、虐待、自殺、殺人など、町田さんらしい社会のドロドロの部分が物語に収められております。人間が抱える闇の部分と、それに苦悩する姿を書くのが本当に上手い作家さん。


 七編からなる連作集。おすすめですよ。




 

 




 

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