I'm mad about you I love you

ルナ

First Night

こんなに人を愛したことは今までなかった。一人の人に出会い、今まで感じたことのない苦しみ、幸せ、たくさんの感情を味わった。それは悪夢のようで幻のように儚い恋だった。

彼にであったのは昨年の秋頃である。当時私は仕事に追われ心を癒すため酒に逃げる生活をしていてとても健康とは言える状態ではなかった。いつも何かに追われていて、自分が何がしたいのかわからない。酔っているときだけがそんな気分を掻き消してくれた。誰かに救ってもらいたくて、必要とされたくて体目的の男たちと一晩を共に過ごすことなんて日常茶飯事であった。男たちは私の体にしか用がない。目が覚めると横には誰もいない。ガラス張りの広い部屋で一人ぼっち。そのとき私をおそう虚無感には慣れてしまっていた。

そんな中彼に出会う。感情を失っていた私は、彼に出会ったあとに湧くこの思いが何であるか初めわからなかった。それほど私は彼に一瞬で引かれたのだ。理由はわからない。私のドストライクのタイプではなかったし、今までなら絶対選ばないタイプ。でも彼から目が離せなかった。その瞳を私でいっぱいにして、決して私意外をうつさないでほしかった。わからないからこそ、この強い深い感情に浸っていたかった。煙のモヤの中に包まれているようで、私は相当よっていたのだろうか。それともドラッグでも飲まされたのだろうか。そんな気分だった。その後の記憶はない。目が覚めると隣には彼がいて、私の唇にそっとキスをして部屋を出て行った。そのあと私はひどい二日酔いと吐き気に襲われて一日中寝込んだ。私はいつもなら感じない謎の感情が一体何であるか気になってしかたなかった。彼のことで頭がいっぱいでそんな自分がいやで無理にでも消したかった。でも決して消えることはなかった。私は彼に夢中になってしまったのだ。


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