信逆の御霊
天泣馨(あまなき かおる)
序
それは、今からずっと昔、地上がまだ荒れ果てていたころのおはなしです。
常にくもった空の下、岩と砂ばかりの大地の上で、あらゆる生き物はほんの少しの食べ物や土地を巡って、生きるために争い続けていました。人もまた同じく、生きるために動物たちと、あるいは同じ人間たちと争わなければなりませんでした。たくさんの命が失われ、人々はおおきな悲しみといかりの中で、もがき苦しまなければなりませんでした。
その様子をご覧になった天上の世界におわす神様は、生きるために殺し合わねばならない生き物の運命に、非常にお心をお痛めになられました。そして、そんな我らをお救いになるべく、はるばる天上の世界からお降りになられたのです。
神様のお力で、空にはあたたかな太陽がかがやくようになり、地上は緑のあふれる豊かな大地へと変わりました。争いのために作られたものは全て消え、代わりにうつくしいものやたのしいものが、人々のまわりにあふれていきました。
やがて人々の心の中から、悲しみやいかりは消え、代わりに互いを愛し慈しむ心が芽生えました。
やっとおとずれた穏やかな時代と、それをもたらしてくださった神様に感謝し、我らは神様をあがめ、たてまつるようになりました。
神様は我らにあらゆる奇跡をお授けくださり、我らは祈りとご奉仕をお返しする。そのような関係を続けるうちに、やがて神様の元には多くの人々が集まり、一つの国となりました。そう、我らが祖国、ソルフェジオのはじまりです。
ですが、やがて神様も天上の世界におかえりにならなければならなくなりました。神様は最後の奇跡に、一番神様を信じていたある子どもに、神様のお力の一部と、神様の代わりに世界を導く使命をお与えになられました。子どものかみの毛は白くなり、目はうすい緑に変わりました。これこそが、一番最初の【信仰の御霊】の誕生でした。
その子どもは、神様と同じ力をつかい、その命尽きるまで人々の為にあり続けました。人々もそれにこたえ、神様の教えの通りに生きました。そうして何十年かたった後、命の尽きた子どもの魂は天上の世界に昇り、神様に地上の人々の心の清らかさをお伝えになられました。それに感動した神様は、また一人別の子どもにお力と使命をお与えになられたのです。
そしてそれは、今我らの生きるこの時代でも続いています。神様は今も、天上の世界から我らを見守られておるのです。
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