負けたら消滅!?最弱の魔王に転生したので勇者と協力します

時雨白黒

第1話 最弱魔王に転生しました

 あなたが死後に転生したとしたら何を想像するだろう。物語の主人公になって強くて仲間に恵まれた勇者?はたまたモンスターになって魔物や人間たちと共同して仲良く暮らす?それとも可愛いヒロインと一緒に旅をしたり店を開いてスローライフを楽しむ?どれも楽しそうだ。しかし、俺が転生したのはそんなんじゃない。俺が転生したのは、最強の主人公でもない、楽しく旅をしたりスローライフを満喫するものじゃなかった。俺が転生したのは、魔王だった。しかもこの魔王は、泣き虫で最弱、勇者にもビビり初期魔法も打てないレベル1のダメ魔王だった。

 「転生したら普通主人公で最強だろ。何でよりによって魔王なんだよ。最弱だし、勇者にビビるなんて聞いたことねえよ!!」

 「どうしたんだクラウド?急に泣き叫んだりして」

 「な、なんでもない!!勇者にも心配されるなんて...」

 「クラウド、勇者じゃない。私の名前は、フィオナ教えただろ?」

 「そうだっけ?」

 「本当に大丈夫かい?」

 「だ、大丈夫」

 「そう?ならいいんだ。心配したよ。急に倒れるのだから。でも大丈夫そうでよかった。大切な友人が無事で何よりだ」

 「友人?」

 「そうだ、君のことだよクラウド。私と君は魔王と勇者という立場だが共に分かり合った仲だろう。君は私の大切な友人ともだ」

 勇者・フィオナは言って笑った。どうやらこの世界の魔王・クラウドは、勇者・フィオナと仲がいいらしい。急に転生してしまったとはいえこの世界は、ありがたいが...勇者に助けられる魔王ってどんだけ弱いんだよ。心の中でそう叫んでしまった。それにしてもまさか本当に転生するなんて...。これからどうしよう。全ての始まりは、あの日車に轢かれたことがきっかけだった。


「第一話 最弱魔王に転生しました」

 俺は、もともとゲームやアニメが好きな男子高校生で、名前は雨乞い《あまごい》海斗。趣味は、ライトノベルや転生系の漫画を読むことだった。俺は、転生物の漫画を読んでいてこう考えることがある。もしかして俺は死んだらこの主人公見たいに転生できるのではないか。転生したら最強になれるかもしてない。もしや正体を隠しているだけで不思議な力を誰かが使えたりして...なんて考えると何も起きるはずがないので一周回って冷静になる。

 「はあ~。高校生になったら何か起きるのかと思ってたのにな。何も起きない、起きるわけないか~。でも逆に起きたら怖い。転生ものって急に何かが起きたりし」

 ふとお顔を上げると女の子がボールを拾おうと道路を飛び出している。同をに飛び出した女の子は、気づいてない。車が迫ってきている。轢かれる。助けなきゃ、でも間に合わないかも、轢かれたら女の子は死ぬ。

 「は!!美里、逃げなさい!!美里、美里」

母親が気づいて真っ青な顔をして叫んでいる。走っているが距離が間に合わない。近くに人はいるが皆見ているだけで動かない。車の運転手も女の子に気づいてブレーキを踏むが間に合わない。俺は、自然と足が動いていた。こんなことをする柄じゃない。けど、目の前で轢かれそうな女の子を見殺しになんかできなかった。俺は、女の子を抱きかかえて庇って轢かれた。ドン、と強い衝撃と激痛が、走った。道路に叩きつけられて体中痛い。血が止まらない。俺どうなったんだっけ?ふと女の子を見るとかすり傷はあるものの元気そうでよかった。

 「お兄ちゃん、お兄ちゃん。しっかりして!!」

 「大丈...夫?」

 「うん、お兄ちゃんが守ってくれたから。」

 「ならよかった...」

 「君待ってろ!今救急車呼んだからしっかりしろ」

多くの人が俺に駆け寄って何かを必死に伝えているが俺は、もう意識を失いかけていた。女の子が泣きながら俺のことを呼んでいる。母親は、応急処置をして必死に傷口を押さえてくれていた。

 「もう少しですから!頑張ってください。今応急処置をしてます。死なないで、あなたは、娘の恩人なんですから」

 「お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」

 「あ、来たぞ。こっちです。」

いつの間にか俺は、救急車に乗せられた。それからは、もうあまり覚えてない。途切れかかる意識の中で俺は最後の女の子の頭を優しくなでた。

 そこで俺は、出血多量であっけなく死んだ。女の子を守れて悔いはない。きっと転生して死んでいったキャラクターもこんな気持ちだったのだろうか。そんなことを思い今度こそ意識を手放した。


 そして俺は、目を覚ますと見たことがない野原に寝かされていた。目を開けると強そうな鎧を着た女性が立ったいた。髪は、茶色で肩にかからない程度の長さで黄色のペンダントを付けていた。こちらに気づくと女性は、心配そうに話しかけてきた。

 「やっと目を覚ましたんだな。安心したよ。クラウド」

 「クラウド?俺は、雨乞い海斗だけど?」

 「雨乞い海斗?何言ってるんだ。君の名前はクラウドだろう?魔王・クラウド」

 「俺がクラウド、しかも魔王!!」

 俺は、近くにあった鏡で自分の顔を見てみると別人が立っていた。茶色の体に黒い角や羽が生えていた。

 「これが俺?え、俺さっきまで人間だったよね。確か女の子を庇って轢かれて死んだはずじゃ。もしかして俺...転生した?」

 「さっきからぶつぶつと呟いてどうしたんだい?大丈夫かいクラウド」

 「大丈夫、待てよ。クラウドってどっかで聞いたような...思い出した!!」

 クラウドという名前を聞いて思い出した。これは、俺が前に遊んだゲームのキャラクターだ。自分が勇者として魔王が支配する世界を旅して魔王を倒すストーリーと逆に魔王界から勇者を守るストーリーだった気がする。ゲーム名は、『MYクエスト』で魔王と勇者の両方の目線で遊べるからその名前がついたのだ。魔王や勇者にもそれぞれキャラクターがいる。その中でも俺は、最弱で泣き虫、おまけに初級魔法も打てないダメ魔王に転生してしまったのだ。俺は思わず叫んでしまい勇者・フィオナに心配されてしまった。それにしてもこれからどうすればいいのだろう。もともとこのゲームは、勇者と魔王が戦うはずだがそんな様子はなくこの世界は、平和だった。

 「風が気持ちいいなクラウド」

 「そうだなフィオナ」

 俺と勇者・フィオナは、野原に横になり空の景色を見ていた。のどかできれいな青空が広がっていた。

 「ねえクラウド。私は、この景色が、この世界が好きだよ。君が守っていた世界だ。」

 「俺が守っていた世界?フィオナじゃなくて?」

 「私じゃないよ。この世界に君、魔王クラウドはいた。皆は、君の事口々に最弱で泣き虫だと言うけど私は、そうは思わない。君は、誰よりも優しい男だと私は思うよ。この世界には、争いはいらないさ。」

 「フィオナ、そうだよな。平和が一番だな」

 俺は勇者・フィオナと共にこの平和なスローライフを楽しむのも悪くないと考えていた。しかしこの考えは直ぐに終わりを告げることになった。何も起きないような平和な日々が送ろうなんてフラグを立てるからだ。そのフラグは見事に立ち的中した。

 「大変だよ、フィオナ。魔王・クラウドもいたんだ。いいから二人とも来て!!」

 突然金髪の女性が現れた。彼女の周りには、多くの本がさまよっていた。賢者だろうか?焦っている様子で俺たちを呼ぶと一瞬で広間にテレポートした。そこには、いかつい武器を持った戦闘士たちが集められていた。俺もフィオナも何か起きたことを察した。

 「一体何が起きたんだ?」

 「それだ大変なのフィオナ、今突然テレパーシが起きたの。」

 「発信元は?」

 「魔王だよ」

 「え?魔王」

 「そうよ。あんた何か知らないの?」

 「知るわけないよ。俺がそんなことできると思う?」

俺がそういうと皆が納得した顔をしていたのでなんだか泣きたくなってきた。自分で言ったのはなんだけどそれで納得しないでほしいな。このクラウドに転生したせいか泣き虫になった。泣いている俺をフィオナが背中を背をさすってくれた。

 「とにかく、これから魔王が何か企んでるみたいだからフィオナを呼んだの。一応クラウドも」

 「俺のおまけ感つよい」

 「私は、良いと思うぞクラウド。でもなぜ魔王が皆心して待機せよ。」

フィオナは俺たちのそう支持をした。俺はことが分からず固まっていた。魔王が何の用何だろう。こんな要素ゲームにはなかった。イレギュラーだ。そもそもここに転生したせいでゲーム内容が変わったのか。とにかく俺は今は、ゲームのキャラクターだ。最弱だとは言え気を引き締めないと。フィオナの支持から数分後ついに魔王が交信し話し出した。

 「我の急な呼び出しに応じてくれた15のあるすべての星々の者たちよ。感謝する。我の名は魔王シリウスだ。我は、諸君らの敬意に対し礼を払うことにした。我は、ある宴を開くことにした。その宴とは、魔王たちが戦うバトルロワイアルだ。これはただのバトルロワイアルではない。魔王のみが戦い星々の生き残りをかけて戦う宴だ。この宴に勝った魔王は、我がなんでも一つだけかなえてやろう。しかしこの宴に負けた魔王の星は、敗者とみなして我が直々に消し去ってやる。つまり負ければ星が消滅するのだ。負けたくなければ勝ち残れ。開催するのは、五年後の今だ。諸君らの命は、各星々の魔王たちに託されたのだ。それでは諸君、検討を祈る」

そう言い残すと魔王シリウスは、交信を終えた。俺やフィオナだけじゃないその場にいた者たちは何も言葉を発することが出来なかった。皆に動揺が走った。

 「魔王バトルロワイアル、俺が負ければこの星が消滅する。皆が死ぬ。」

 まさかこんなことになるなんて...こうして魔王に転生した俺はこの星を守るため魔王バトルロワイアルに参加することになった。




 


 

 

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