野いちごの恐怖
シリコーン
野いちごの恐怖
春は野いちごの季節ですね。
野いちごは、赤くて、まんまるくって、つぶつぶで、可愛くて。口に入れれば優しい甘さにちょっとの酸味が広がっていきます。
ただとは思えないおいしさ。
最近、草いちごという野いちごの群生地を見つけました。草いちごは、結構いろんなところに生えて、これぞ理想の野いちご! 感を醸し出している野いちご。思い出すだけでもあまぁい香りが漂うような気がするのです。
さて、そんな草いちごの群生地を見つけた私は、意気揚々と野いちご狩りに出かけました。
たくさんみのっている野いちごの中でも、大粒のをつんでみたり、透き通った色のを摘んだり。水洗いして、その場でひょいっと食べてみたり。
楽しい時間を過ごした私は、野いちごをたくさん持って帰って来たのです。
家に帰った後、野いちごをさっとあらって、半分ほど食べたところで、ふと思い出しました。野いちごを塩水につけたら虫が出てくるのではなかったっけ、と。ちょっと試してみることにしました。
さっそく塩水を作って、そのなかに野いちごをドボン。
しばらくまって、野いちごの入ったざるを覗いて見ました。すると……
黒と白のよこじま模様がオサレな、む、むしさんが! 野いちごの上で、くねくねくねくね……生きてるし!
なんということでしょう。どうやら野いちごはむしさんの棲家だったようです。移住費タダ、家は食べ放題、しかし人間につかまる恐れありの好物件だったことでしょう。
しかも、一匹だけではありません。三匹仲良く、くねくねくねくね……
しかも、一種類だけではありません。白くて細くて、塩水のなかでうねうね動いている、ウジ虫のようなむしさんの姿が……!! しっかり見ていないので定かではありませんが、きっと十匹以上はいたことでしょう。あら貴方、ご機嫌よう。ミズミミズに似ていますこと。貴方もこの好物件に住みに来たのかしら?
こわい。コワイ。怖い。気持ち悪くなってしまって、野いちごは捨ててしまいました。(収穫した挙句捨てるなんて……食品ロスはこうして生まれるのでしょうか。ごめんなさい! )
かわいい見た目に騙されてはいけません。野いちごには罠が仕掛けてあります。虫嫌いには威力バツグンの罠を。私のお腹の中にはきっと無数の虫がいることでしょう……。
野いちごのトラップにかかった人は大勢いるのではないか。私はそんなことを思いながら、農薬使用してある市販のいちごを、ちびちびちびちび食べるのでした。
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