第135話 それは、とても静かで二人の為の優しい夏の夜

「本当に何も無くて良かった・・・。それに、楽しかったな・・・。」


今は全員が寝静まって泊ってるロッジのリビングで一人コーヒーを飲んでる。


母さんが俺の希望を叶えてくれて皆での海、無理やりな部分は確かにあったけど終わって見れば楽しかったし感謝しかない。


それに愛央が過去にケリをつけられたのは偶然とは言え結果的には良かったと思う。

いずれはしないといけない事だと思うしそれがこんなに早く叶うとは思ってなかった。

まぁ・・・何の準備も無くってのは可哀想だったけど・・・。


愛央を背負ったまま皆の場所に戻ってきて直ぐに母さんと菜月が近寄ってきた。

物凄い心配されたけど大丈夫だと、伝えてそのまま寝室まで愛央を連れて行って寝かせた後に、皆とまた食べたり飲んだりしながら色々と話して何があったのかと、詳しく話し柚希さんと茉優さんに物凄く感謝されたりしながら、割と遅くまで外で過ごしていたけど流石にお開きになってそれぞれの寝室で寝る事になった。


まぁ、流石にエッチする訳にもいかないし、皆が別々の部屋だ。


「ん?誰か起きて来た・・・?」


トントントンっとリズミカルに階段を降りる音が聞こえて来て俺の居るリビングに向かっているのが分かったっていうか多分、愛央だろうな。


「あれ・・?悠馬起きてたの?」


「うん、寝れないって言うか眠気が無いって言うかでな。」


「それでコーヒー飲んでたら余計に寝れなくならない?」


苦笑いしながら俺の方に近づいてきた愛央を立ち上がってぎゅっと抱きしめた。


「ふぇ///な、な、ななっ///」


「ふふっ。何か飲むか?」


「ぁぅっ///えっと・・・ちょっと喉乾いたなーって・・・。」


「なら座って待ってろ。」


俺は愛央を離して麦茶を持って戻って渡しながら隣に座る。


「ありがとっ。・・・楽しかったね・・・。」


「そうだな。」


「でも、大変だった・・・。」


「あぁ、よく頑張ったよ。愛央は頑張った、偉いよ。」


「うん、ありがと・・・。」


はぁぁ~・・・っとお互いに無言で隣り合って座りながら静かな時間を過ごす。


「ねぇ、悠馬・・・。あれで良かったのかな?」


「さぁな・・・。正解何て分かんないよ。」


「そうだよね・・・。」


「でも、愛央はあれで良かったとあの時は思ったんだろ?」


「うん、恨みや嫉みをぶつける意味無いって思ったし、そんな事よりも私が悠馬と出会って変わったように私も変えてあげられるならそうしたかった。」


「ならあれで良かったんだよ。それにさ、例えば先生みたいな人があの場所に居たとして今回のやり方がなのかを聞いてみるとしてさ。」


「う、うん・・・。」


「これで良かったって言うかもしれないし、もっと確りと恨み辛みをぶつけろって怒られたかもしれないし、逆に大変だったねって同情してくれるかもしれない。」


「うん・・・。」


「でも俺達は教師でも無いしましてや大人でも無いし、なんて分かんないじゃん?」


「そうだね・・・。」


「今だって俺も愛央も何がだったのか分かって無いしこれから先で今回の選択を後悔するかもしれない。」


「だよね・・・。」


「でもな?俺は今回の愛央の選択は間違ってないって思ったよ。」


「うんっ!」


「きっと、俺だけじゃなく愛央も他の皆も選択する時になれば悩みながら選んでふらふらしながら生きてる・・・だからさ、一緒に悩んで一緒に決めて一緒に生きて行こうよ。今までもこれからもなっ。」


「うんっ!うんっ!」


「俺は、あの時の愛央は本当に偉かったと思うし凄く頑張ったと思う。そして、とても大人になったって思った。同い年で何言ってるんだって感じだけどね。」


「くすっ。確かに・・・。うん、でも。そう思ってくれたのは嬉しいかな。」


「良い女だよ、とてもね。」


「ぁぅっ///ありがとぅ・・・///」


顔を真っ赤にした愛央の頭を寄りかからせてサラサラの綺麗な髪を撫で続けた。

うん、本当にこの子は良い女だしこんな子が俺の恋人で本当に幸せだとおもう。


「悠馬が凄く大人だから私も大人にならなきゃって思ってるのもあるんだからね・・・。勿論、志保さんも清華さんも。」


「気持ちは分からない訳じゃ無いけど無理する事ないよ。そんな無理しなくても俺は3人にぞっこんだからな。」


もうっ///っと言いながらぽすっと俺の腹に愛央の拳が刺さった。


「わー恋人からのDVだー(棒読み)」


「ちょっ!違うしっ!もうっ!」


あはははっと二人で一頻り笑い合ってこの何でもない時間がとても大切で愛おしいって再確認だ。


「さって・・・そろそろ寝ようか?明日に響くしな。」


「うん、・・・あ、あのさっ///」


「うん?どうした?」


「一緒に寝よ・・?///流石にエッチは出来ないけど・・・。」


「そうだな、皆にバレちゃうしな。一緒に寝るだけなら問題ないだろうし、今日の愛央を俺も一人にしたくないよ。言われなきゃ俺から言うつもりだった。」


「あっ///うんっ!///じゃー・・・ねよねよっ。」


愛央と連れ立って寝室にいって二人でベッドでくっつきながらお互いに幸せを感じながら眠りにつくのだった。


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「さぁって!皆、忘れ物は無いー?」


朝、俺が部屋に居ないのを見た志保や清華や菜月が愛央の部屋に来て一緒に寝てる俺を起こして一悶着!


「愛央さんずるいです!」「一緒に寝るなら誘ってよ!」「兄さんのえっち!!!」


「「えっちはしてないよ!?」」っと二人して反論したりして一悶着あったり、母親ズの作った朝ご飯に舌鼓をうってゆったりとした時間を過ごして帰りの準備をして荷物をバスに積み込んでって所での掛け声だった。


「多分大丈夫かな・・・。器具とかも積み込んだし、着替えもそもそもにしてそこまでもってきてる訳じゃないし、スマホと財布も持ってるし大丈夫。」


「皆も大丈夫ー?」っと確りと確認した後に全員でバスに乗り込んで出発する事になった。


「どうだった?悠ちゃん。楽しめた?」


「最高に楽しかったよ。大変な事もあったけど終わって見れば良い終わりだったし、来年もまた皆で来たいね。」


「うんうん!ママが最初にねじこんだ!って言った時は、ぇぇぇって思ったけどすっごい楽しかったし最高の時間だったー!」


「二人共満足してくれて良かったわ。私も楽しかったし最高の思い出になったものっ。」


「葵さん、本当にありがとうございました。凄い楽しかったです。」


皆がそれぞれ、お礼を口にして母さんも満足げな顔と少し照れくさそうな顔と二つが入り混じった顔をしてる。


「来年も絶対に来ような!本当に楽しかったし。次は冬に温泉とかかな?」


「行きたい!また皆で!ママに頑張って貰いましょうーー!」


そうだなーっと菜月の頭を撫でながら一日だけとは言え皆での海は本当に楽しくてこの間のバーベキューに続いていい思い出になったと心から思うしまた来たいなっと本当に思えた、海だった。


こうしてバスの中はずっと会話の途切れることなく皆の顔からも笑顔が消える事は無い楽しい帰り道になってるのを見ながら俺は満足感を感じて大切な人達との時間と皆の顔を見続けるのだった。


こうしてクラスメイトとの夏の思い出、恋人達との夏の思い出と沢山の思い出を作って色あせる事の無い素敵な夏が過ぎて行くのだった。


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愛央の為のお話でしたっ!

他の二人と違って愛央は話数が少なく過去との決別もしてませんでした。結果、悠馬の隣に最初に立てるようになって誰よりも特別であるにも関わらず本人にはそこまでの自信がありませんでした。

勿論、以前よりは自信を持てていましたが志保が過去にケリを付けるのを見ている為このままでは自分に自信を持てなくなると思ってしまって居たのを今回の件で確りとケリを付けて何も憂いも無く誰よりも特別な女の子だと自信が付いて悠馬の隣に立ち続けられる様になったと言うわけです。

そして、何より愛央は悠馬と共に在ることで成長していけるのを現せていたら幸いです。


如何でしたでしょう?話数も他の二人とほぼ同じになりましたし楽しんで貰えれば幸いです。

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