第129話 何でも出来ちゃう悠馬君

「おし、そんじゃそろそろ行くか、健司。」


「あ、はいっ!」


あの後、俺達は一旦、健司を連れて俺の家に帰ってきて時間を潰していた。


バーベキュー台とか俺達の買った木炭などは悠花のお母さんが車でホームセンターに悠花と薫を連れて来てたから預けておいた。

先に行って設置したりしておくよーっと言われたから甘える事にした。


「さぁさぁ!悠ちゃんと健司君も車に乗ってねー。ちゃんと送ってあげるからね。」


「すいません、お願いします。」


「帰りは連絡するからそしたら迎えお願いしてもいい?そのまま先に健司を送ってやってから帰ってくる事になるけどさ。」


「勿論そのつもりだから大丈夫よ。悠ちゃんと健司くんはしっかりと楽しんできなさいね。」


「うん、ありがとね本当に、色々とさ。行ってくるねー菜月。」


「はーいっ!楽しんできてね兄さん!稲穂君もね!」


「ありがと!お邪魔しましたー!」


俺と健司は母さんの運転する車に揺られて街の一番大きな川の河原に向かって母さんは車を走らせてくれてる。


「本当に楽しみです。外で焼いて食べるなんて経験出来るなんて思ってなかったですよ!」


「んだなー。俺も楽しみだわっ。」


前の世界でなら毎年の夏に友達と集まって河原で夜中までお酒飲んだり騒いだりってやってたから本当に久しぶりでこっちでも経験してるなんて言えないのがもどかしいな。


「ふふっ。悠ちゃんの顔が子供っぽくなってるっ。可愛いわぁ~。」


「う、うっさいな・・・。俺だって楽しみなんだよっ///流石に河原でってのは許可して貰えないかもなって思ってたからさ。ありがとね。」


「そうね、今回は特別よ。流石に何度も何度もって訳にも行かないわよ?」


「うん、一回で全員が参加って訳じゃ無ければ家の庭を使って何度かに分けようと思ってたからそこは理解してる。愛央たちともやりたいしそっちは庭で良いかな?」


「そうね、その時は皆のお母さん達も一緒にで楽しみましょうねっ。」


「庭でなら心配もいらないですね、それに確かに安全ですもんね。」


「うん、そのつもりだったんだけど皆してタイミング合わせちゃうんだもんなー。」


「皆して気を使ったんでしょうね、きっと。」


「そうなんだろうなー、良いんだけど良くないって言うな。」


あはははっと皆で笑いながら終始、笑顔で車は河原に向かったのだった。


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「おいっすぅー!皆、おひさー!」


「「悠馬くんー!久しぶりー!」」「「会いたかったぁぁぁぁぁ!!」」「「稲穂君もいらっしゃぁーーーい!」」


「ってあら?もう健司の事、知ってるのか。」


「悠花と薫から聞いてるからね!ささっ!座って座って!一杯食べてね!」


「先ずは皆してコップ持ってー!乾杯からしよー!」


「ほらほらっ!悠馬くんも持って持って!挨拶もヨロー!」


「俺が?!しゃーないな・・・。んじゃー簡単に!皆がこうやって集まれたのは本当に嬉しい!まだ俺等って数か月の付き合いだけどこれからの高校生活も改めてよろしく!って事で今日はたのしもうーーーー!かんぱーーーいっ!!!」


そして俺達は夏の風物詩を皆で開始した!


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SIDE 健司


「肉はもうちょっと待ってね~?実は上手く火が付かなくて・・・。」


あはは・・っと苦笑いしながら飲み物とおにぎりを持ってきてくれた先輩の言葉に頷いた。


「はぁ~しゃーない、ちょっと行ってくるから健司は待っててくれ。」


「え?あ、はい・・・。」


悠馬さんは飲み物をテーブルの上に置いてバーベキュー台の方に歩いていった。


「ちょい見せてみー、火付かないんだろ?」


「うん、ごめんねぇ~。来る前に付けておこうと思ったんだけど全然だめでさ・・・。」


「おーけーおーけー、任せてくれ。・・・うん、入れすぎだな。貸してみな。」


悠馬さんは少し見ただけで原因が分かったらしく軍手をして中にいれてある木炭を一旦取り出して数を少なくした後に着火剤に火をつけて木炭を少しずつ入れなおして加熱していってる。


「そっち側からうちわで扇いで空気いれてくれ。ある程度、熱くなって木炭が赤くなってきたら追加していけば良いから今の内に野菜とか肉とか切って準備しておいてな。」


しっかりと指示を出しながら進んでなかった準備をサクサクと進めてる姿を見てほぇ~っと感心してしまった。


「いやぁ~・・流石悠馬くん・・・。出来ない事あるのかな?」


「言いたい事は分かります・・・。悠馬さんも初めてって言ってましたけど簡単に火つけてしまってますもんね。」


「あ、あぁぁ!待った!待った!!!肉を切った包丁で野菜切るなー!生で食べる訳じゃ無いけど注意しないと食中毒の原因になるぞそれ!」


「うわっ!ご、ごめん!気を付けるね!」


「怒ってる訳じゃ無いから!怪我しないように注意してくれよ?血も危ないんだからな!」


うん、悠馬さん楽しそう・・・。めっちゃ生き生きしてるなぁ~・・・。


「楽しそうだね、悠馬くん。」


「ですね、俺もだけど悠馬さんも凄い楽しみにしてましたからね。」


「それは私達もそうだよー。夏休み中に悠馬くんと会えないんじゃないかって本気で思ってたもん。」


「大人気ですね!皆さんの気持ちも分かりますけどっ。」


「最近は良く悠馬くんと遊んでるの?」


「そこまでって訳じゃ無いですよ。俺の事、友達って言ってくれてすげー嬉しくてもっともっとやる気出てますから色々努力は続けてますけどね。」


「そうなんだ。悠馬くんも色々忙しいだろうし皆で予定合わせたのは良かったかな?」


「あ~・・それはどっちでも良かったみたいですよ?複数回に合わせても良かったしって言ってました、複数回に分けるなら家の庭でやるつもりだったみたいですし。」


「悠馬くんの家の庭?!・・・くぅっ・・・選択間違えたかこれ・・・?」


「あははははっ。今回も言いたい事は良く分かりますよっ。」


俺は相手してくれてる先輩と笑いながら焼けて来る肉のいい匂いにお腹を鳴らしながら楽しく待つ事になったのだった。


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「あはははははっ。」


うん、健司も楽しそうだし、連れて来てよかった。


「稲穂君も楽しそうだね?ちょっと安心。」


「ありがとな、混ぜてくれて。楽しんでるみたいで俺も嬉しいわ。」


「んーんっ。男の子が更に参加ってのはこっちも嬉しいしさ、ましてやそれが悠馬くんのお友達なら特にねっ。」


何とか確りと火をつけてジュージューっと音を鳴らしながら焼けてきてる、牛、豚、鳥などの肉、各種色々な野菜、トウモロコシ、バーベキューと言えばこれ!って感じの串焼き、殻付きのホタテ、そう言うのを所狭しと焼いて行く。


「ホタテってこのままでいいの?」


「大丈夫だよ、その内開いてくるからそしたら片面を外して醤油を少し垂らしてまた焼いて行けばおkっ。あぁ、でも黒いところは食べないでね、食えない事は無いけど火が通っても危ないからさそこ。」


「は~いっ、てかホタテのあの黒いのってなんなの?」


「う〇こだよ。う〇こ。」


「まじで・・・?」


「マジ・・・。だから火を通しても食べない方がいいの。」


「うへぇ・・・聞いておいてよかった・・・。」


「珍味とかであるらしいけど加工してないのは食べない方が良いのは間違いないね・・・。」


「「確かに・・・。」」っと一緒になって焼いている子達と話しながらどんどん焼いて行くが・・・・。


「ゆーまーくーんー・・・まだ・・・?」


「いい加減お腹が・・・・。」


「は、はは・・。大分焼けて来てるから取って行って良いよー。牛以外は確り焼いてからじゃ無いと駄目だけど、牛なら多少、生でも良いから食べて行きな。」


「わーいっ!いただきまーーす!」「ほらっ!健司くんも遠慮しないで食べる!食べる!」


「は、はいっ!いただきますー!」


「うまぁ・・・悠馬くんが焼いてくれてるからか普段食べてるのよりも美味しいぃー!」


「バーベキューってこんなに美味しくなるんだ・・・・。」


「これは嵌まる・・・。うまうま・・・。」


「すげぇー美味い・・・。悠馬さん!めっちゃ美味いっす!」


「おう!遠慮しないで食え食え!折角の経験なんだから思いっきり食うのだ!ちゃんとおにぎりも食うんだぞ!」


「「「はーーーーいっ!」」」っと健司だけじゃなくクラス皆が声を上げてクラスのバーベキューは面白可笑しく進んで行くのだった。


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