第2話 南の方向
下校中のケンタとナナミはクラスのウワサでまたこういったものを聞いていた。それは、柴犬は中学校の南の方向へと逃げ去ったらしい。中学校の南の方向には住宅街が広がる。ひょっとしたら柴犬は住宅街をさまよっているらしいというのがケンタとナナミの考えである。
「ねぇ、ケンタ? 住宅街ならば、誰か目撃しているかもしれない」
「確かに。柴犬が見つかるのもすぐかもしれない」
でも、ケンタとナナミは、どうやら自分たちで逃げ去った柴犬を探し出したいようだ。二人は探偵になったつもりである。
「それにしても、クラスのウワサで柴犬の話でいっぱいだね」
「そうだよな、柴犬が早く見つかればいいんだけど」
そこに、堂島さんが二人の前に姿を現した。
「堂島さん、だっけ? どうしたんだよ?」
おとなしい同じクラスの女子、堂島さんはクスクス笑って立ち去って行った。
ケンタとナナミはポカーンとなる。
「何? 今の」
「さ、さぁ? 堂島さんは無口だからね? ケンタもそう思うでしょ?」
「ああ……。うーん?」
少なくとも、ケンタとナナミは違和感があった。
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