第1話 嫌われていた?

 ここは中学一年生の教室。給食を食べ終えて昼休みのクラスのみんな。ケンタとナナミは二人で話している。柴犬が逃げたということについての探偵ごっこのようなものだ。

「ナナミ、聞いたか? 散歩中に柴犬はものすごい力で飼い主の手から逃げ去ったらしい」

「へぇ、なんでだろう? ケンタ、それは誰から聞いたの?」

「クラスのウワサで」

 ここでケンタとナナミは考える。散歩中に柴犬はものすごい力で飼い主の手から逃げ去ったという話を。ケンタはこう言った。

「つまり、柴犬は飼い主のことを嫌っていた?」

「普段からペットに嫌われていた飼い主?」

 二人はそんなことを話している。

 すると、同じクラスの女子、堂島さんがこちらを見つめてクスクス笑っている。ケンタとナナミは気にしていない様子。

 果たして、柴犬は飼い主を嫌っていたのだろうか。

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