雨が降ったら

ラっテ

第1話 雨女

私はまぁ、俗に言う雨女というやつなのです。

「どこかへ行こう」「明日は大事な予定がある」

そんな日に限ってお天気お姉さんの予報を本当の予報にしてしまうのだった。そのせいでか、性格も暗い、インドアで趣味が読書に映画・音楽鑑賞と、一般的でつまらない類の人間の枠に属している。


勝手に空のせいにしてる?


そんな事ない。本当に空は私達人間の気分を、世界の色を、景色を、簡単に変えられるんだ。例えば、朝から雨が降れば(私の雨女事情は禁句ね)今日の1日生きる30パーセント近くの労力を削ると思う。気分が下がって頭が痛くなったり屋内に居てもふと空を見上げた時に「雨かぁ」と大抵の人間はそうなるだろう。私なんて湿気で前髪崩れちゃうし。でもそこから雨が上がって重く水分を含みすぎた雲と雲の隙間から太陽が「ごめんごめんお待たせ~でも僕はずっと照らしてたんだよ」なんて笑って言いながらひょっと顔を覗かせるでしょう。そしたら次第に虹がかかってまだ水滴が付いている傘を畳んで仕舞うだろう。

宇宙飛行士よりかは愛が薄いかもしれないが、私の知っている限りの周りの人間の中では、一番に空を愛していると声を大にして言える。それ程大好きだし空というものはこの世の中で一番に純粋で綺麗だと思う。人間なんて下の下だ。本当にこの世界は天と地を綺麗に表しているだろう。雨に打たれたって良いことだってあるのに、皆、自分の事でいっぱいいっぱいで余裕なんかないんだ。雨が降れば草木が育つ、花が水滴に照らされて普段隠れている、いや実際に私達人間が見落としてる道端の花も輝く。雨が降ればダムに水が溜まる。雨が降るとお気に入りの傘が使える。雨が降ったら、泣いた跡も消してくれる。

そうやって雨だって私達生きてる全ての者に意味を与えてくれる。(ここでは優しい雨限定の事を指す事を最初に言っておけばよかったですね)


ところで、私が雨女だという冒頭の話を忘れてはいないだろうか。


結局雨のこと貶してるの?褒めてるの?


となるだろう。そう、貶して褒めているの。

雨は時には私達人間を憂鬱にすると同時に普段気づけない事に気づかせてくれたりする。雨は、自分のことでいっぱいいっぱいの余裕のない人間達に同時に与えた天からの授けものだろうと思う。

私は決して雨が嫌いな訳では無い。

私の性格が根暗で私に友達が少ないのも家族を心から愛せないのも、過去ばかり呪って一応進路を心配しているのも、小説ばかり読み漁って遂には小説を書いているのも。全部雨のせいにはしたくない。

だって雨は何だかそんな私を浄化してくれている気もするから。雨に打たれて全部、雨のせいにしちゃおう。きっと雨は許してくれる、神様も空も見守ってくれるよ


私は雨女。予定を狂わし他人にも迷惑をかけてばかりの雨女。どこかで雨女は魔法使いと読んだ事があったなぁ、晴れには出来ない雨限定の魔法のスティックしか振れませんが。

「あーしたてんきになぁーあれっ」なんてね。

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