第十四話 其ハ何ヲ求メ彷徨ウカ⑥
二礼二拍一礼
やっぱ神社に向かうときはこれしないと。この礼儀が今後の俺を左右するかもしれないし。
んじゃ、お邪魔します。
おぉぉー。
「中は思ったよりも綺麗だな。」
早く帰りたいんですが。
というか、神社の中に入るのは何気に初めてだな。いつもは賽銭箱を挟んで中を見るぐらいしかしたことがなかった。床には予想通り木の板が使われておりほんのり冷たい。
床暖なんて付いているはずもないが、人の出入りがやはり無かったことが分かる。
そんで、本命は神様祀ってる所か。
おーん?これ潜ってかないといけないの?いやー、怖くね?
外から見ていたときは気づかなかったが、神が祀られているだろう場所は巨大な暖簾のようなもので隠されていた。先の空間が見えないのでどういう構造か分からない。
そして、この暖簾の先からは何か近寄りがたい異質なもの?気配?を感じた。
と言っても何があろうと俺は進むんだけどね。不敬だ失礼だなんざ知らねぇよ!四の五の言ってらんねぇよ!と言うことで暖簾を一気に引っ張っていざ行かん!
「うわぁ!?」
瞬間、巨大な何かが見えてびっくりした。驚きすぎて思い切りケツを床にぶつけて痛い。
涙目になりつつも立ち上がると、目の前に巨大なものが。
見間違いではなかったようだ、だが、これ、何だ?触ってみるとスベスベしたいる。まるさで滑らかな石を触っているようだ。明かに木のような材質ではない。
近くからだと分からなかったが、その場から離れることでその正体が分かった。
後ずされば後ずさるほど、その勇ましく凛々しい姿が顕になっていく。俺が恐竜と同じ程に好きだった姿がそこにはあった。
「ドラゴンだ。」
黒龍........いや、黒い材質のものを掘って作られた龍の彫刻だ。命の伊吹を感じる。(気のせい)
それにしても細かい。鱗一つ一つ丁寧に彫られている。間近で見たときに見えた鱗はどれも形が微妙に違った。しかもこのデカさ。見上げてようやく背中が見えるぐらいだから相当なもの。労力が凄いだろうな。
...........まぁ、これで日本じゃなくなったよな。うん、まぁ分かってはいたよ。うん。それで?どうする?また手詰まり来たけど、もしかしてまだこの先がある?
神社ギリギリの大きさの
壁一面に広がる壁画、何か既視感を感じる.......って、これあれじゃん!ここに来る時に見たあれじゃん。そう、あれ........あれ?何だっけ?
まぁ、そんなことはいい。もしかしてこれ、俺戻れるんじゃね?同じ扉から戻れる的なやつ。希望が、希望が見えてきたぞ!俺のやる気も上がる。さてと、あの時は壁に触れてこっちがわに来たけど、今度はどうだ?
取り敢えず、触れてみる。うーん、ごつごつしてるただの岩肌だな。とくに変な感触はない。
...........あれぇ?光らないぞ?また、ぬか喜び?そ、そんなの酷いじゃないか!どうして帰してくれないんだ?もういいだろ!
だが、そんなことて諦める俺ではない。すぐに探索に移る。壁の隅を始めに、徐々に中心へと視線を向けつつ違和感を探す。すると、壁の右側辺りに壁画が途切れている部分があった。あからさますぎやしないか?
近くに行って確認しようとするが、ギリギリっ、届かない。
「ごめん、彫刻の龍。」
尻尾部分を足場として活用しながら調べると、そこに小さな突起物─
ポチィ!
はっ!?俺は一体何を.........条件反射で押してしまった。ど、どうする?これで毒ガスだったら.........ん?何か、空いてね?
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