第二話 メール

ふと、俺はパソコン画面の右端に目を向けると、メール受信のメッセージが表示されてるのを知った。


「誰からだ?俺このパソコンにメール来るようにしてないけど。」


このパソコンは、俺がゲームや課題の検索のために使っているものだから、基本的に他人との連絡には使わないようにしている。


というか、このパソコンにメールしてくるような相手いねぇし。


なのに、そこには俺宛のメールが表示されていた。


うーわ、気味悪っ。

こういうときは消すのがいちばん。


「うし............ 消すか。」


マウスを動かしカーソルをそのメールのアイコンにあわせて右クリック。

そしてでてきた消去の選択肢を左クリック。

これで消すことができる............


はずだった。


左クリックをした瞬間、とんでもないメッセージが出た。



このメールは、消去不可能です。




と。


えっ!?そんなんあんの?パソコンでも消せないものってあんの?


あまりにも衝撃的な事実に慌ててしまう。

え........普通にどうしよう、笑えねぇ.........。


「こういうときってどうすればいいんだっけ。確かタンスの上らへんに.........あ、違った棚の横か。」


俺が純粋なボケをかまし、棚の方に振り向こうとしたそのとき、クリック音が聞こえた。


「え?」


画面には、メールの中身が表示されていた。


「え?何で......って」


そこには、何かのURLが書かれていた。

どこのなんだ?

そう思っているとまたクリック音が聞こえた。


「だから何でだよ!俺操作してないって。」


だが、時すでに遅し。そのURL のページにとんでいた。


そこには........


「はぁ?」



何もか入力されていなかった。


そう、なにも。


真っ白の画面。俺はなにも言えなくなる。

パソコンにウイルスでも入ったのか?だが、

ウイルスバスターは入ってるし、なにも異変の通知が来ていない。............うわ更新してねぇ。


でも、何でだ?

混乱してしまう。





〈こんにちは〉




「へ?」


いきなり文字が書かれた。

なにこれちょーこわい。


「電源電源!」


慌てて電源を切ろうとする........が、


「何で消えねぇんだよ!」


消えない。どれだけ連打しても、一向にパソコンは起動中の音を止めることはなかった。


怖い、ただただ怖かった。


親に相談できないのもあって、なお怖かった。




〈あなたは、時亜 迅さんですね。〉




え?

もう嫌だ、何で名前まで出てるんだよ!プライバシーの権利って知ってる?犯罪だこんなの。

だが、ただでやられるとおもうなよ?そう考えつつ俺は文字をうち始める。


〈こんなことをして、何が目的だ。警察に訴えるぞ。俺はお前を知っている。〉


ただのはったりだ。この場凌ぎの。

だけど、このままビビってこれを終わらせてくれればそれで─




〈いえ、あなたは私を知りません。警察に訴えることもできません。なぜならば、〉



そこまでかかれて文字が途切れた。

............ 次の文が入力される気配がない。もしかして、終わった........のか?なら、ようやくこれで.....



〈私はこの世にいないのだから〉



は?何を、いってるんだ?


「っ〈ふざけんな!〉」


現実でも、文字でもそう言った。


何なんだこいつ。何を俺に伝えたいんだ?どうすればいいんだ?こんなの。



〈あなたに、たのみがあってこういう手段を取らせていただきました。〉



な!?

まるで俺の思考を読んでいるかのように、文字が答える。ここまで来ると、怖い他ない。


「ははっ.........」


もうなにも言えなかった。

そうするしかなかった。

俺は、部屋の壁に背中を預けた。


「俺に..........なにしろってんだよ。」


こうなれば受け入れるしかない。

俺はそいつに向かってそう問う。



〈もうすぐわかります。〉



画面にはそう書いてあった。


「思考を読んでいるのは本当みたいだな。

いったい誰がこんなことしてんだか。」


盗聴機の可能性はない。そう思った。あまりにも反応が早すぎるからだ。もしかしたら近くにいるのかもしれないが、疲れきってる頭でそんなの考えられるわけねぇだろ。


「はぁ、とんだ災難だ。」













〈準備は整いました。〉





画面に近寄ってみると、そこにはそう書かれていた。


準備だぁ?何の..........



〈後ろを向いてください。〉





はぁ?まぁ、いいけど。

そして、俺は指示通り後ろを見た。


そこには........................











「なんだ........................これ?」




そこには、巨大な門がそびえ立っていた。

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