死にたい夜の温み

己の無力さに恥かいて

己の勝手さに涙して

そういう夜がいくつもあって

その分だけ別れてきた


生きている自分自身に価値などないと

誰でもない自分が下した鉄槌に

呻けどそこには誰もいない

苦しみだけがそこに鎮座する


そういう夜に愛想を尽かした隣人は

今朝の始発で何も言わずに旅立ってった

もう少し綺麗な別れもあっただろうに

正しく僕と言わんばかりの凄惨な別れだった


そんな夜を回顧するこの夜も

どうにもならない希死念慮を抱えて

手を伸ばしたかつての幻

そこにはあるはずない、いつかの温みがあった


温かいその声は確かにあの日の残像で

それでも僕が知らない景色がそこにあって

もう二度と触れられないと思ってた温みがあって

その温みにただ感謝するしかなかった


僕が頑張ってきたその分だけの温み

それに助けられるだなんて思ってなかった

少なくともあの泣き腫らした夜には

あの夜から見れば今の僕はまだマシなのかな


明朝行きのバスに消えた背中を見送って

僕が乗るべきバスが来るのを一人待っていた

きっとここにあったはずの温みだけど

それを悔やむのももう飽きた


それぞれの場所に向かう此処で立ち会って

その健闘を讃えあう、それすら望めなかった過去

それが叶ったこの夜は

少なくとも最低なんかじゃない


そうは言っても消えない希死念慮に消去欲

だがそんな僕を救うのは結局自分の言葉だ

その言葉にだいぶ助けられて来た

またこの夜と言葉がいつか報われますように

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