Ⅲ. 病的夕陽黄昏青春編

【不平】





    8月 1日 (金)






  この世界は 平等ではない


  この世間は 公平でもない




  誰もプラスを手放そうとしない


  『金の王子様』なんて存在しない


  そのくせ 誰もがマイナスを煙たがる


  だからマイナスから始まった私は


  プラスマイナスゼロにはなれない


  普通にも 当たり前にも なれない




  私は産まれながらにして病んでいて


  私は生まれてくるべきではなかった







  インターネットは救世だ


  私の居場所は 青白いモニターの中だけ


  この中では 誰もが一律で


  特徴なき普通が当たり前



  私はそれが たまらなく嬉しくて


  毒にも薬にもならない


  深い潜水を 毎日続けていた


  不思議と息苦しさはなかった






  今日 PCがウイルスに感染した


  私を構築していた全てが


  たったワンクリックで吹き飛んだ


  私はまた マイナスに戻された





  みんな名前を隠して


  みんな等しく平等に息していたのに


  どこかの誰かの 匿名の悪意が


  均衡をクラッシュさせた




  別に一番なんて 求めてなかった


  特別な人間なんて 興味なかった


  それなのに 私は殺された


  それがどうしても許せない


 

 


  愚かだったのは 私だ


  この世は マイナスの押し付け合い


  私は生まれてくるべきではなかったが


  生まれてしまったからには


  少しでも人生を プラスにしなければ


  生きている理由がなくなってしまう





  私以外の全てへ



  生まれるべきでなかったと


  心底から後悔させてやる








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