またはないから

@lm183

第1話 始まり

「最近の高校生イケメンで草」

始まりは私のこの一言だった。

 古着にハマりかけていた私のおすすめに少し前からよく出てくるようになった彼の投稿を参考にしたいと思うと同時に、彼に対してかっこいいと思っていた。背が高くてオシャレで、こんな彼氏が欲しいなと思ってしまうくらい私のタイプだった。

 何気ない軽い気持ちでフォローをしたら、彼からフォローが返ってきた。正直ドキッとした。他の人も同じように考えるかはわからないけれど、私のアカウントは鍵がかかっていたし、まさか返ってくるとは思っていなかったから、“彼も私に興味を持ってくれている“そう思った。だからあわよくば関わりを持てるかもしれないという不純な気持ちでストーリーにメッセージで反応した。

 でもすぐに送信取り消しをした。もっと他の言葉を使えば良かったと思ったから。だけど私が取り消すより先に彼にそのメッセージを見られてしまった。

“ありがとうございます笑 お姉さんも可愛いですね“

彼からのこの返信で私はもう完全に彼の沼に足を入れてしまっていた。彼の使う言葉はどれも魅力的で夢中になるのにそう時間はいらなかった。

 それから2日程DMで会話をしていたら彼が言った。

“僕と恋愛する気ないなら話さないでください“

今冷静になれば、ずるいなと思う。私のまだどうなるか分からない好意を恋愛感情に変えてしまうのに自分はどう思っているのかを明かさないのだから。でもその時の私は自分の好みの異性と話せていることでただでさえ浮き足立っていたから彼も自分のことを好きなんだと信じて疑わなかった。そして私は自分の生きてきた環境と彼の生きてきた環境の違いをわかっていなかった。

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