ステンドランプ~冒険は嵐のように~

@akagitouka

第1話 冒険の夜明け

未知なる箱はどんな道にも転がっている。

閉ざされた道は人を誘《いざな》う。

閉ざされた未知は本能を誘《さそ》う。


未知なる箱に鍵はない。

何かの拍子ひょうし突然開とつぜんひらく。

雨風あめかぜだろうと容易たやすひらく。


人の歩みは千里せんりを超えて、青赤黒あおあかくろと色を重ねて。

人の歩みは千重せんかさなって、光がさせばいろぬけおちる。

たとえ人が知らずとも、人が歩みて未知はひらく。



「オ、、、ォイ、シュ、ロム!」

「オイ!シュトロム!ぼさっとしてんじゃないわさ。さっさと仕事終わらせて朝飯食めしくいな!」

「わかった。今行く!」


とん!からん、とん!からん、


街をねむらせるかすみが日の光をにじませる朝、宿屋の畑でおのを振るう少年がいた。


とん!かたん、とん!かたん、


霞で少し湿った薪割まきわりの音が、小気味こきみよい一定のリズムをきざむ。


宿屋の門をくぐり、かかえたいくつかのまきをカウンターのおくのカーミさんに届ける。


「薪持って来たぞ、裏の薪置まきおきはもう満タンにしといたから、、、おれの飯は?」

「あんた目腐ってんのかい?飯ならそこにあるわさ。」


おれはっすらと湯気の立ち昇るシチューと皿からこぼれるくずパンが置かれたテーブルに目を向ける。


「どうしちゃったんだよカーミさん。具入りシチューなんて出しちゃってさ。頭にうじでもいたのか?」

「あんたに言われたかないわさ。朝から一人でブツブツ、気持ち悪いったらありゃしないよ。」

「なっ、そんなに聞きたかったのかぁ~、しゃーねーなー。今日はな、始まりの冒険者ポラリスが未知を求める冒険者に向けた、、、」

「はいはい、もう耳に胼胝たこが出来るほど聞いたわさ。今日も冒険なんて金にならん事すんのかい?」

「はぁ、耳の胼胝から火が出ても知らねーぞ。もちろん!腹が減る理由くらいの愚問ぐもんだぜ。」

「相変わらずの冒険馬鹿だわさ。」


おれはカーミさんのなげきを聞き流し、湯気ゆげがすっかり晴れてしまったスープと屑パンを咀嚼そしゃくして、いきつくもなく腹に流し込む。


食事を終え席を立とうとしたその時、カウンターの奥のカーミさんが口を開いた。


「今日は少し毛色けいろの違う団体さんが来るからね、早く帰って来るさね。湯沸かし薪割りで忙しいくなるわさ。」


「団体?こんな街外れの宿にか?湯浴ゆあみなんてずいぶん贅沢ぜいたくな団体だな、とうとうピカピカの騎士様きしさまよろいさびでもいたか。」

「貴族様さね。」

「、、、」


おれの軽口かるくちにさっぱりした返答へんとうをするカーミさんに、おれは口がふさがらなくなった。


「おいおい、貴族様がこんな安宿やすやどにどんな要件だよ、、いや待て、やっぱ聞きたくない。おれ、冒険行ってくる。空が赤くなる前に帰ってくるよ。」


言葉が終わるとすぐにして部屋への階段かいだんのぼる。

そして、がったほこりが落ち切るより早く深緑ふかみどり外套がいとうに身を包んだ少年が宿を出ていった。


「まったく、もっと落ち着いて金稼かねかせぐようにならんかね。せっかく出来るやつなのにもったいないわさ。」


誰に言うでもないつぶやきが、静かになった宿屋にのこった。



ーーーーーー


どうも赤城灯火でーす。初投稿、書き溜めのない見切り発射なので更新は安定しないと思いますので、思い出したときにでも読んでください( ゚д゚)ノ

「耳にタコができる」タコの漢字は意外と難しいですねw当然海にいる蛸じゃなくて、指にできるペンダコとかの胼胝ですよwこういうのなんか感じにしたいんですよねうざかったらすみません<(_ _)>

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