ログイン・パスワード

-おはよう-


ログインパスワードはだいたい四文字

この世界の一日がまた始まった


朝食もそこそこに、僕は学校へと急ぐ

ルーティンのような退屈な、

でも、ある意味有意義な授業をやりすごすと


-ランチタイム-


スリープモードに切り替えて、しばしの休息に入る

ログオフも、ましてやログアウトもしない

おいそれと、気を抜けない時間だから


-放課後-


ゆっくりと、家路に向かう足取りは重め


疲れているけど、急ぐ必要はないから


急ぎすぎると、あっという間に今日が終わってしまうから



「ログアウト」してしまうと

僕はこの世界から、完全に離脱することになってしまう


たったひとり、誰もいない世界に戻ることになってしまう



最初はずっといつも、煩わしいと思っていた、この世界のならわし


挨拶で、モードを切り替えないといけなくて

社交的に「ログイン」しないといけなくて



無くなってからしばらくは、とても快適だった


けれど、今は


同じくらいに、ちよっとだけ、辛いかもしれないと思い始めていて




-おやすみ-


誰に言うとでもなくつぶやいた、この四文字程度で


僕は今日もこの世界から、ログアウトした



そして


ゆっくりと、ベッドから起き上がると




僕の世界へと、戻ってきたことを確認した



「僕だけしかいない」世界で



今日も「僕以外の誰か」が残してくれているかも知れない



起爆装置(リセット・キー)を探しに行く



「記録」の中に存在する、作られた世界ごと



僕の存在ごと、すべてを


ぶっ壊してもらうために


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