第2話春の国の話

轢沙子はまた夢を見ていた

どこか懐かしい。そしてよくわからない夢

しかし、しっかりわかったのは巫女が出てくることだった

?「おーい轢沙子ーこっちだぞ」

?「全く。お前がそんな遅いとはな」

轢沙子「また…こんな夢を…」

轢沙子はこの夢がよくわかってなかった

轢沙子「ねえ、あなたたち。名前を聞かせて?」

?「何言ってんだよ。私は;・。ーっていうんだよ」

なんて言ったかよくわからない

轢沙子「なんて言ったの?もう一回。お願い」

?「そんなこといいからさ。こっちおいでよ」

?「…私たち仲良しの関係でしょ?」

轢沙子「そんな。あなたたちがわからないのに仲良しだなんて」

?「さあ、行こうぜ」

轢沙子「ちょっと待って…!」


ジリリりり!!

目覚まし時計が鳴った。いつもどおりの朝。轢沙子は目覚まし時計のベルを無言で止めた

轢沙子「…」

起きたのはいいが轢沙子はさっき見た夢がいまいちよくわからなかった

あと少しで名前がわかったかもしれない。だが、結局わからなかった

しかし夢なのに謎の人物に名前を聞くのはいいものだろうか?

轢沙子「あの子たち…私をどこかへ連れていこうとしてた…」

まただるい気持ちが轢沙子を襲った。しかし、今日は仕事だ

轢沙子「はぁ、支度しますか…」

のろのろと、轢沙子は仕事へ行く支度をする



春の国シダレカ。心地良い風がふく。気温もちょうどいい

シダレカはどちらかというと暖かい気候の国である

もちろん夏のシーズンになれば暑い。特にコンクリートジャングルの繁華街は

そして、4つの国の中では一番の都会。繁華街に行けば高層ビル群が立ち並ぶ

ノコヤミシティとリョクジシティは正にビル群の街である

シティと名付けられてるもの以外にも町はあるが、それでも田舎というよりも

必要最低限の店がある町である。実際他の国からの移住も結構ある

移住と言っても仕事がたくさんある繁華街への移住が多く、家族連れで引っ越すことも

鉄道、地下鉄、そして高速道路。繁華街やその他の町への移動はかなり楽だ

しかし、喧騒。と言ったとこか。騒がしい国でもありそこは静かなヒダンゲには負ける

それでも金を稼ぎたい。自分の夢を求めたい。安定した仕事をしたい…など

色々な目的で他の国からここへ移住する人は多い。そこがシダレカの魅力でもある


仕事場があるリョクジシティより離れた場所に轢沙子はアパートで暮らしている

だるい気持ちを抑え、てくてくと歩くとまた見知った顔がいた

轢沙子「あれ?ネネちゃんじゃない?」

見知った顔は、リリの娘であるネネ・ポテプだった

ネネ「あ!轢沙子さん!おはようございます!」

ネネ・ポテプ。リリの娘でまだ13歳の中学生1年の子だ

ネネは落ち着いた性格でリリの娘とは思えないほど優しい

リリのストッパーでもあり彼女がいるとリリはある程度落ち着いた性格になる

轢沙子「これから学校?」

ネネ「はい。今日お母さん家事があるから見送りできないって言いました」

轢沙子「彼女が家事で忙しいって一体なにやってるのかしら…」

ネネ「なんか掃除できなかった部分があって今それやってますね」

轢沙子「そんなの昼からやればいいものの…」

ネネ「一度やるとガッツリやっちゃうタイプみたいですね」

轢沙子「彼女そういう性格だったかしら…まあやりたいならいいか」

ネネ「はい。じゃ、私は学校へいきます」

轢沙子「ええ。いってらっしゃい」

轢沙子はネネと別れた


轢沙子いつもどおりの朝ラッシュの電車に乗る

轢沙子「…ほんと、免許とりたくなってきた」

朝ラッシュの電車はほんと辛い。乗車率200%は超えてんじゃないだろうか

しかし今のところ免許をとる暇すらないので仕方なく電車を乗っている

轢沙子「自転車で行ける距離じゃないからね。はぁ、我慢するしかないわね…」

そんな満員電車に乗りながら轢沙子は仕事場へと向かう


仕事場へ着き、朝の朝会を行ったとこで轢沙子は自分の机で仕事をする

?「おーい、轢沙子くん」

上司が轢沙子を呼んだ。なんだろうと思いながら轢沙子は上司が座っている机に行った

上司は種族がヒューマンなのでそれらしい年齢と顔と髪型である。男である

轢沙子「はい。なんでしょう」

上司「轢沙子くん。今日これをやってくれないかな?今日中にできるやつだ。

他の仕事より、こっちをやってほしい。頼むよ」

上司は書類を轢沙子にわたす

轢沙子「わかりました。やりますね」

轢沙子はちょっとだるい顔で引き受けた。その顔を上司は見逃さなかった

上司「…ん?轢沙子くん、なんか調子悪そうだね?風邪?」

轢沙子「あ、いえ…今日不思議な夢を連続で見てちょっと思ってただけです」

上司「不思議な夢かあ。俺も夢はちょくちょく見るな。どんな夢?」

轢沙子「はい。なんか…巫女っぽい人たちが私を呼んで…こっちに来いよーみたいな

ことを言ってて…よくわからなかったんです」

上司は少し考えたあと、ひらめいたように言った

上司「もしかして前にテレビの特集でヒダンゲの巫女さんのことやってたやつか?」

轢沙子「あ…!そういえば私それ見てました」

上司は的中したのか笑顔になった。確かに前に番組で巫女の特集をしてたことがあった

上司「やっぱりな!俺もその特集見ててエルフの巫女さんがあまりに綺麗だったし

見惚れていたら奥さんに思いっきり睨まれたよ!いやー結構印象に残ったぞ!

…もしかしたらそれを見て夢に巫女が出たんじゃないか?」

轢沙子「なるほど。その可能性がありますね。よかった。解決して」

上司「ほら、よく言うだろほうれんそうって!相談が効いたな!」

轢沙子「は、ははは…」

ちょっと違うんじゃないか?と轢沙子はこころのなかでつぶやいた

上司「ま、とりあえず今日の仕事、よろしくな」

轢沙子「はい。わかりました」

轢沙子は上司の机から離れた

『果たして、そんなことであのような夢になるのか?』

不思議に思いながら、轢沙子は忘れようと仕事をした


昼過ぎ、轢沙子は上司に渡された書類を半分ぐらい終えた

このペースなら夕方あたりには確実に終えるだろう。意外と簡単なやつであった

轢沙子「ふー…。さて、昼ごはんどうしようかな」

今日は会社の食堂へ行き、そこでご飯を食べることにした

結局今日も昼ごはんは肉多めの弁当にした。やっぱり肉を食わないと落ち着かない

ふと、食堂にあるテレビを見た。ちょうどニュースの時間だ

轢沙子「アマリリスジャングルから大きい遺跡の発見…?4つの国の中ではかなりでかい規模。

遺跡研究の根底を覆す大発見だ…ってアマリリスよりシダレカの遺跡の研究をもっとしてほしいわね」

繁華街の中に遺跡があること自体おかしいじゃないとぼやく。アマリリスでふと思い出した

轢沙子「アマリリスと言ったら光ちゃんのとこじゃない。もしかしたらこのニュース見てるのかも」

そんなこと言いながら轢沙子はまたご飯を食べていた


夕方。上司に頼まれた書類を渡す

上司「おー!完璧だ!よし今日はありがとうな」

轢沙子「いえいえ、思ったより簡単でした」

上司「これを簡単というとはな…轢沙子くん。もしかしたら昇進があり得るかもな」

轢沙子「昇進ですか?」

上司「仕事ができて、人からの信頼も厚い。そういう人が昇進するんだよ」

轢沙子「嬉しいです。ありがとうございます」

上司「それは後々前向きに考えるとしよう。今日はお疲れ様。もう帰っていいぞ。俺も帰るけどな」

轢沙子はさっさと帰る支度をして会社を出た


会社を出た後、轢沙子はまた考えてた

轢沙子「そうだ。今日はパソコンの周辺機器ほしいからリョクジシティ行きましょう」

早速電車に乗り轢沙子はノコヤミシティよりも賑わうリョクジシティへと向かう

リョクジシティに着いた。ここはどちらかというとオフィス街のノコヤミシティより

たくさんの店が並ぶシティでもある。何でもあり。ここで一日遊んでもまだ足りないほど

ただ犯罪も多いため常時警察官が見回りをしてる場所でもある

轢沙子「いやー人が多いけど警察官も相変わらず多いわね…まあ犯罪が多いからね…」

とりあえずパソコンの店に行く

轢沙子「えーとほしいのは…あったマウス。ちょうど今使っているマウスが壊れかけてたからね」

今回はネトゲをスムーズにしたいためちょっと高めのゲーミングマウスを購入しようとした

ふと、パソコンもついでに見ていた

轢沙子「うわー…何この値段。150000Gとかまさに玄人用のパソコンじゃない…

しかもこれなに?ディスプレイがバカでかいわ…。これでSNSでもやるつもりかしら…

またはもっとハイスペックなネトゲとかやるの?今の給料じゃちょっと足りないわね…

昇進の可能性があるとは言われたけどそれで買えるのかしらね…」

パソコンってピンからキリまであるんだなあと思い、マウスを購入すべくレジへと並んだ


マウスを買い、もうやることが無くなった轢沙子

轢沙子「せっかく来たんだし、夜になったけどちょっとふらっと見てみますか」

轢沙子はリョクジシティの中を散歩してみた

ここは本当に色々ある。パソコンの店もあるが、シンプルに雑貨のある店、専門店。

しまいには何を利用するかわからない怪しい店などある

数十分ぐらい歩いてたら突然雰囲気が変わった

轢沙子「あ。遺跡じゃない」

ノコヤミシティの真ん中にあるのと同じでリョクジシティにも真ん中に遺跡があった

轢沙子「ここ…入れるのね」

立入禁止テープが貼られてるわけではなく出入り口を自由に行き来できる遺跡だった

轢沙子「けどこんな繁華街にある遺跡って落書きされないかしら…」

ちょっと試しに入ってみる。幸い遺跡の中はライトが付いていた

轢沙子「不思議な雰囲気…この模様何かしら…しかも人みたいな模様もあって…」

その人の模様はまるでヒダンゲにいる巫女のようだった

轢沙子「…巫女?のような模様…何かしら…」

ふと思い出したかのように腕時計を見て時間を見る

轢沙子「げ!もうこんな時間じゃない!そろそろ帰ろうっと!」

轢沙子は急いで遺跡を出て駅へと走った


自宅へ帰る途中、轢沙子は今晩のごはんを買い戻る

轢沙子「はー明日もあるからさっさと寝ないと…」

と、言いつつカレンダーを見た

轢沙子「あ、明日土曜日だから休みじゃない。じゃあネトゲでもログインしましょうか」

今日買ってきた晩ごはんを食べつつネトゲにログインをした


ネトゲにログインしてギルドに向かう。いつもどおりの顔ぶれがいた

轢沙子「こんばんはみんな」

光「あ!ヒッサーさんこんばんは!」

冬美「ヒッサー、こんばんは」

レニ「今日もいつもどおりに来てくれて嬉しいですわ」

秋の国にいるレニ。彼女も最近ギルドに入ったメンバーである

さっきの話でテレビで紹介されたエルフの巫女とは彼女のことだ

しかし、レニは誰にもそのことは伝えていない

轢沙子「いつの間にかにぎやかになってきたわねここ」

光「そうなんだよー!人数いるから色んなクエストに行けるね」

冬美「今日は金曜日だから金がたくさん入るクエストに行けるわね」

レニ「金曜日だからお金のクエスト…お金はたくさんあっても困らないですわ」

冬美「そう思うでしょ?」

光「けど、報酬で素材が高く売れるクエストもあるよ?」

冬美「うーんそれもいいわね。どっちにしようかしら」

轢沙子「ここは手堅くお金が増えるクエストにしましょう?」

光「そうだねー。そういえば高級な素材が手に入るクエストって難易度が高めだった」

レニ「わたくし、まだ低レベルだからキツイです」

光「じゃ、お金がたまるクエストで!」

冬美「目的決まったわね。さっさと行きましょう」

轢沙子「レン(レニ)さん、しっかりサポートするわね」

レニ「嬉しいですわ。ヒッサーさんよろしくおねがいします」


たくさんのクエストをしてそろそろ深夜になる時間に終えた

轢沙子「もう深夜1時過ぎじゃない。今日もたくさんやったわね…」

パソコンを消し、ベッドに潜る

轢沙子「…今日も今日でまたあの夢を見るのかしら。いや今日も見たらさすがに…」

そんな考えごとをしてたらいつの間にか睡眠モードになった轢沙子だった


シダレカの夜。夜は少しひんやりとした夜

喧騒な街は、これからが夜でもある…



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