ある子供の感情

あいくま

第1話

「きょうのほうかごあそぼうぜ!」

「いいよ!おかあさんにきいてみる!」

そう言いながら内心不安でいっぱい。お母さんからOKが出るかなんてわかんない。塾の課題も終わってない。昨日の分だって、今日に回しちゃった。心の中でぐるぐるするものがある。そうこうしてるうちに家に着く。さぁ、聞いてみよう。

「ただいま!きょうあそびにいっていい?」

「いいけど。どこに行くの?」よし、許可取れたと思いつつ答える。

「○○くんのいえ!したくしたらすぐいく!」

心はウキウキだった。1秒でも早く家から出たかった。そんな時この一言。

「5時には帰ってきなよ。」

え?どうして?みんな5時を過ぎても遊んでるのに。なんでなんで。

「どうして5時なの?」

これを聞いた途端、お母さんの顔が一気に険悪になった。

「5時と言ったら5時!嫌なら遊びに行くな!」

「なんでよ!みんなおそくまであそんでるもん!」

「駄々をこねるな!もう今日は遊びに行くの禁止ね。」

「なんでよ!」

「自分が悪いでしょ。なんでこうなったかくらい自分で考えなよ。」

なんでよ…嫌だよ。みんなできてるのになんで僕だけ?

1人座りながら考える。背中が丸まり、自然と体育座りみたいになる。体が少し震える。なんの震えだろう。お母さんへの怒り?今日遊びに行けなかったことへの悲しみ?よく分かんないけど、不快なことだけは確かだった。体の周りがモヤモヤする。嫌なものがまとわりついてる気がしてじっとしてなどいられなかった。机に行こう。勉強しよう。そうすれば、お母さんも機嫌を治してくれるはず。筆箱を取り出し、宿題を始める。今日は感じの書き取りだ。1ページやればいい。楽なところで埋めてしまおう。そう思って取り掛かった。

半分にさしかかろうとした時、お母さんが来た。褒めてもらえるかな?ウキウキを隠しながら書く。ノートを覗き込んできた。なんて言うんだろう。

「字読めなっ。どうしてそんなに汚くかけるの?」意外なんて言葉では言い表せなかった。何とかして、もっと綺麗に書こう。手に力が入る。1列書き終わり、少し綺麗になっただろうと思いながら次の列に行き、書いてると、ポキッという音とともに鉛筆の芯が折れた。慌てて鉛筆削りを取り出してとんがらせる。ポキッ。また折れた。もうやだ。やーめた!

今日はとことん上手くいかない。なんでなんだろ。考えてもわかんない。もうやだな。宿題も何もかもなくなってしまえばいいのに。

そんな時に思いついたこと。

そうだ!お母さんなんていなくなっちゃえばいいんだ!

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