第2話
右手に、妹の楓。左手には、弟の優也。そして背中に、巨大な荷物。出掛ける準備万端だ。
「れっつごー」
「ごー」
兄妹よ、息ぴったりで可愛いではないか。
「おにい、どうやっていくの?」
「でんしゃ?バス?かえで、のりもの、すきー」
惜しいな…。
「新幹線だ」
「おぉー」
「おぉー」
「新幹線で行けば、三時間で着くのさ」
「さんじかんもあれば、『○メン○イダー』ろっぽんぶん、だね」
何だ、そのカップラーメンみたいなたとえは。優也、まさか新幹線の中で、某特撮を視るつもりではなかろうか。だが、残念だ。新幹線にテレビは持ち込めない。
「ごめんな、外にまでテレビ持って行けないから、帰るまで我慢して。せっかくの新幹線なんだから、景色を楽しむのがお勧めだよ」
「うん…、わかった。かえでとあそぶ」
話を聞いていたのか否か。変な返答であった。
駅に着くと、僕たちの乗る新幹線が、出迎えてくれていた。
「しんかんせん、かっこいい…」
「かっこいい…。はやく、のろうよ」
僕は、両側から引っ張られた。若干、左からの力の方が、強かった。
指定していた席を見つけると、窓側に優也、通路側に僕が座った。楓は、僕の膝の上である。「発車しまーす」という運転手さんの声と共に、僕の頭はカクン、となった。優也と楓の甲高い声は、僕の脳味噌から遠ざかっていった。
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