奇談 蜻楼村

︽ teller∦ɹǝllǝʇ ︾

セイロウサマ

 この村は██県の山奥に位置する集落で、ほとんど外界との繋がりがない。

 私は今年14になる。

 名前は供事 巫(くうじ みこ)

この村で数少ない子供でありさらに少ない女性だからか、蔑ろにされつつも都合の良い時だけ可愛がられるために、村の男の人達の気持ちを癒すために産まれたと言っても過言じゃない。兄の性欲を満たすのはまだ構わない、私や家族を養ってくれているし、かっこいいし、優しいし、兄のためなら私はこの体を使える。だけど、他の人にまで迫られるのは嫌だ。私の体は兄のためだけにあるんだから誰にも渡せない。それをわかっているし、私の数少ない味方であり身内だからか兄は守ってくれるし、幸いにうちの家は村で比較的力のある家だから言い寄られはしても襲われることは今の所ない。

 そうして幸せでは無いけど死ぬことも無い平穏な暮らしをしていたある日、家に白羽の矢が立った。何事かと思えば、なんと私がこの村の神社である蜻蛉神社(せいれいじんじゃ)の神に捧げる人身御供の番が回ってきたのだ…嫌だ、嫌だ、そんなの嫌だ、死にたくない、なにが神だ、悪魔をなだめるためにそんな事をしているだけじゃないか、嫌だ嫌だ嫌だ、ずっとお兄ちゃんと一緒に居たい、死にたくない。そんな事を願ったとしても村の掟は変わらない、我が家含む数家が順番に人身御供を捧げる事で村での地位を得て、村がカミによって荒らされないのは分かってる。でも、嫌だ!私は嫌だ!まだ生きたい。死にたくなんかない…

 私が怯えていると父が私の腕を掴んだ。

「嘘だよね…?お父さん、私死にたくない…嫌だ!やめて!」私は抵抗したが縛られ抱えあげられて、宮司さんに渡された。

「巫ちゃん、これはね、とても光栄なことなんだよ。そして、勘違いしてるみたいだけど死にはしないよ。セイロウサマに捧げられた女の子はセイロウサマの妻であり、娘であり、人質であり、母なんだ。だからセイロウサマを怒らせなければ死ぬことは無いよ。これから一旦神社に戻ってセイロウサマにふさわしい捧げ物になれるようにしてあげるからね。セイロウサマに捧げられると食事は要らなくなるし、つまり排泄も要らない。そして、水もセイロウサマがくれる。だからもう皆には会えないけど死にはしないから安心してくれ。」そうやって言われて上手くやれば死ぬことは無いとわかったがそれでも嫌だ、身勝手なのは分かるけどわけも分からないカミの物になるなんて耐えられない…

 しかし、抵抗は無駄だと悟った。

 セイロウサマは人の形では無いため私が服を着ていると私の体を使えないから全て脱ぐようにと言われ、脱ぐしかないと思って言う通りにした。すると、突然宮司さんに連れていかれて、奥の布団に寝かされた。「え?宮司さん?私今から何されるんですか?」私の質問に宮司さんは屈辱的な返答をする。「セイロウサマのモノが入り易いように巫ちゃんの中をほぐして、巫ちゃんが少しでも楽なように気持ちよくなれるようにしてあげるね。」しかし、私には抵抗する気力も、体力も残っていない。これがほんとでも宮司さんの欲求だとしてもどうせ人外のオモチャにされるなら同じと思い、身を委ねた。

 宮司さんの指で私は何度も絶頂に浸ってしまい、中にも入れられてしまった。兄のためだけに使うと決めた所が容易に汚され、それを快感に溺れて認めてしまう自分に恐怖と失意と絶望の合金がのしかかる。

 数時間後、私の体力はもう限界で宮司さんも息を切らしている。私は小柄だから中も狭くてセイロウサマが入れにくいからと何度も何度も私を突いて白く染めた。

 宮司さんは私にセイロウサマのために何をすれば良いかを教えてくれた。「まずセイロウサマは巫ちゃんの体を足で掴んで連れていくと思う。その時は抵抗せず、向こうに着いたらセイロウサマが求めてくると思うから股を開いて入れやすくしなさい。そして、それ以外の時は大人しくしていれば良い、求められたことをするだけだから。」

 私は、話を聞いてせめて生き残るのだと決意し、祭壇で横になった。


 しばらくして、大きなトンボともカゲロウとも言える大人ひとりと半分程の大きさの虫が来た。

 驚いていたが腹は括っていたのでそれほど騒ぎもしなかった。

 恐らくこれがセイロウサマだろう。宮司さんの言う通り私は足で掴まれて洞窟のようなところに連れてこられ、宮司さんの言う通りに私は股を開いた。それを見て、セイロウサマは私の上に来て、尾を私の中に入れようとする。私は入りやすいように手で広げ、なるべく濡れるようにした。腕ほどもあるソレは私の中に入っていく。私は痛さと恐怖、兄に捧げると誓った体が虫けらに犯される屈辱で涙を流したが、もちろん虫にそんなことが分かるはずもなく、私の中で激しく動き、かき混ぜる。

 全てを諦めたとしても痛みと快感が同時に押し寄せればおかしくなりそうにもなる。

そんな風なことを考えていると。セイロウサマは私の腕の付け根辺りに顔を近づけてまじまじと見ている。何をされるのかと怯えているとセイロウサマの牙が私の脇に当たり、「ブツリ、ゴキ…グチュルル…」と嫌な音を立てて噛み切られた。「あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁ!」

私もさすがに声を上げてしまった。痛い、痛すぎる。でもこれ以上騒ぐとセイロウサマを怒らせてしまうかもしれない。大人しくしているともう片方の腕も食べられ、足が噛まれた時、我慢していたのだがまた声を上げてしまった…するとセイロウサマのモノが私の口の中に入り、ドロっとした液を注いできた。セイロウサマ専用の体にされた私の体は喜んで股を濡らしてしまう…嬉しくなんかないのに…

 両足が切られ、また私の股はセイロウサマを受け入れる。たくさんのセイロウサマの汁が溢れるほどに注がれて洞窟の地面を濡らす。

でも、私は生きてる、死んでないだけマシ、それに村のみんなと違ってセイロウサマはこれでも愛してくれているんだ。愛し方が人と違うだけで、そう思う事にした。でなきゃ、心が持たない。


 しばらく突かれて、もう終わったかと思った途端、セイロウサマの牙が私の胸を捉える。「ブツリ」と音を立てて千切れる。他の部位も食い荒らされて死を確信した、私はもう終わったんだ。―


 ―その後、彼女のものと思われる死体が村の中央に吊るされていた。

村はもう1人人身御供を送った。

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