第10話 ふさわしき者
「イザ姐が寝ててよかったですよ。」
切断されたイノシシの首をみながら東風さんが言った。
「あの人、中身は結構お嬢さんですからね。
確かにこういうのは苦手でしょうね。」
東風さんが俺の言葉に同意する。
「やさしい人なんですよ。
ルルタニアにいた時も環境生物を殺すのは嫌がってましたから。
あ、カイルさんここはどう切ればいいんですか?」
俺は東風さんに手本を示すようにイノシシの身体にナイフで切り込みを入れる。
「このラインに沿うように切ってください。」
「なるほど、こう……ですね。
それにしてもカイルさんは手慣れてますね。
何度も狩りをされているのですか?」
確かに東風さんにはそういう風にみえてもおかしくないのかもしれないが、俺はレンジャーの研修のおまけで一回狩りを経験したきりだった。
「俺も狩りは殆どした事ないですけど、町で豚の解体を手伝った事が何度かあるんです。
豚もイノシシもあまり変わらないですから。」
ゴータルートの街では人手の足りない時に何度か豚の解体や精肉作業を手伝い、その礼として肉を分けて貰っていた。
そういえば、街での精肉作業では豚肉でソーセージ作りもやっていたのだが、ここにはそれに必要な道具も揃ってないしイノシシのソーセージが美味いのかどうかもわからない。
できればやってみたかったのだが、諦めた方が良さそうだ。
俺は豚の解体の続きを東風さんに任せて、庭の片隅に石で簡単なかまどを作り始めた。
『仏説摩訶般若波羅蜜多心経 観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空……』
石を積み上げていると、クラン拠点の壁の向こうから聞いた事もないような祈りの声が聞こえてくる。
(段が大猿の死体を供養するって言ってたけど、その為の祈りなのかな?)
自称密教僧だそうたが、この祈りは果たして本物なのか出鱈目なのか?
そもそも俺は密教僧というものがどういうものかも知らないのだが。
「なにを作っとるんじゃ?」
袋を持ったべべ王が傍にやって来て作りかけのかまどを覗き込む。
「肉を焼くためにかまどを作ってるんだよ。」
「かまどならクラフトルームにもあるが……」
べべ王は良く晴れた空を見上げた。
「今日はここで焼いた方が面白そうじゃのう。」
クラフトルームはてっきり鍛冶の設備のみだと勘違いしていたが、違っていたようだ。
どういう設備があるのか後で確認しといた方がいいかもしれない。
「クラフトルームに炭と肉を焼くための鉄板があるなら持ってきて欲しいんだけど?」
「ええよ。
それと、こいつを確認しとくれ。」
そういうとべべ王は手に持っていた袋を広げた。
”櫛・食器・歯ブラシ・鏡”袋の中身は朝食の後にべべ王に製作を頼んだ物だった。
「え?仕事早すぎない?」
驚く俺にべべ王はドヤ顔で胸を張ってみせる。
おや……?
「持ち手が異様に太いのが混ざってるけど、なんで?」
「それは東ちゃん用の物じゃよ。
あいつは指が太過ぎて普通のサイズの道具は使うのに一苦労するからのぅ。」
べべ王の返事に俺は目を丸くする。
確かに東風さんの指のサイズでは小さな物や細い物を掴むのは大変だろう。
しかし、そんな東風さんに盗賊をやらせてて本当に大丈夫なんだろうか?
「フォークやスプーンは本当に木製で良かったのじゃろうか?」
べべ王が少し不安そうに俺に尋ねる。
「金属製だとその金属の味がどうしても食べる時に邪魔になるんだよ。
木製の方が風味もいいし、そっちを好む人が殆どだよ……
あれ?このナイフ銀製じゃないか?
こんな高価な素材を使っていいの?」
俺の問いにべべ王は不思議そうな顔をする。
「銀鉱石なんぞ、このクランの倉庫には山ほど余っとるぞ。
貴族達は銀製の食器を好んでいるというから銀製にしたが、なんならオリハルコン製にした方が良かったかの?」
「なんでそんな高級な素材があるんだよここに。
だいたい銀でももったいないくらいなのに、ナイフの素材にそこまで拘っても仕方ないだろ。
それより、早く鉄板と炭を取って来てよ。」
オリハルコン製のナイフなんて、もはや武器として使った方がいいくらいだ。
クラフトを頼んでいた生活必需品に問題はないようだし、俺はべべ王に調理器具を取って来るように頼んだのだが、べべ王の視線は既にある方向に釘付けになっていた。
(まさか、このジジイ……)
「ヒャホッーイ!」
イノシシの頭を頭上に掲げて上機嫌にはしゃいぎ、そこら中を駆け回るべべ王。
ガキっぽいジジイだと思っていたが、これでは子供どころか蛮族以下だ……。
「コラッ!
罰当たりなジジイだな!」
大猿の供養を終えた段が庭に入って来るなりイノシシの頭をべべ王から取り上げた。
「ごめんなさい。」
いつものように何の反省もせずに条件反射的にべべ王が頭を下げ、段はそれをさも当たり前のように無視をする。
「こいつの供養も後でしてやらんとな。」
段はなぜか楽しそうにイノシシの首を見つめている。
「ルルタニアでは念仏を唱える機会なんてありませんでしたからね。」
東風さんの言葉で、なぜ段が楽しそうなのかようやく俺は理解できた。
要するにこいつも罰当たりな事考えてやがるだけなのだ。
「この世界は面倒な事だらけで辟易してたんだがよ。
ルルタニアと違って坊主らしい事ができるってのは新鮮でいいよな。」
これはもう既に坊主が言っていいセリフじゃないんだぜ段。
俺は段がこれ以上不謹慎な事を言いだす前に仕事を押し付ける事にした。
「手が空いてるならかまどを作るの手伝って欲しいんだけど。
あと、倉庫に調味料が余ってたりしない?
俺が持っている調味料は塩しかないんだけど。」
手持ちの調味料は俺のカバンの中にある塩一袋だけだった。
デニムに”役に立つことが多いから”と言われて持たされていたのだが、今のところは村への報告に持って行くための大猿の指を腐らないように塩漬けにするのに使ったきりだった。
「調味料という素材種別は聞いた事がないのぉ。
塩ならば”魔怨呪の岩塩”という素材があるが、それでいいじゃろうか?
ランクの高い貴重な素材じゃぞ。」
「絶対それ持ってくんなよジジイ」
石のかまど作りを段に任せた俺は、東風さんが先ほど採取した木の実やキノコの選別に入る。
東風さんが袋に集めた採取物は殆どが食べられない物だったが、少し酸っぱいが食べれる木の実が少々と、ハーブが幾つか混ざっていた。
肉を焼く時にハーブを上に乗せて風味をつければ、塩のみの味付けでもちょっとは乙な味になるだろう。
キノコに関しては、俺もそこまで詳しくなくてわからない物も多く選別ができなかったのは反省点だ。
「おーい、肉の焼く準備ができたぞー!」
段が俺を呼んでいる。
既にべべ王はクラフトルームから調理器具を持ち帰り、東風さんは肉を切り終えていた。
俺はハーブと塩の入った袋を持って、三人の待つ石のかまどの前に向かった。
(そろそろイザネを起こしてこないとな……)
日の高さから察するに時刻は既に昼を過ぎているようだ。
* * *
「イザネさん起きてる?」
ドアを叩きながら俺は声をかけた。
「んん~っ!」
ドアの中から寝ぼけたような声が聞こえる。
(大丈夫かな……)
ドアを開けるとイザネはベットの上に座りボーッっとしていた。
「おぃ、服っ!」
俺は思わず叫んで視線を逸らす。
イザネは初めて会った時同様、胸に布を巻き、下着のような面積の布地の赤いパンツを履いていた。
腰の太いベルトは寝る時にきつかったのか前を外して下に垂らしている。
「なんだよ、大げさだなぁ。
そんなに意識されるとこっちも恥ずかしくなってくるじゃないか……。」
「胸の布がズレかかってるからっ!」
「あ、ほんとだ。」
イザネは慌ててそのふくよかな胸からずり落ちそうな布の位置を直し、ベットの下に脱ぎ捨てていたシャツを被り、ズボンに足を通す。
俺はやっと視線を元に戻して話しかける。
「昼飯できてるよ。
それから、俺の魔導弓の事なんだけど返してくれないかな。」
「なんでだよ?
強い弓が手に入ったんだから、もういいじゃないか?」
イザネはきょとんとした顔で答える。
「前にイザネさんも言ってたろ、”装備レベル制限がないのはチートだ”って。」
「ん、まぁそうだけど。」
「俺もそうなんじゃないかと思いはじめたんだよ。
イザネさんの作ってくれた弓は強いし、作ってくれた事は嬉しかったんだけど、俺が使いこなせないっていうか、身の程に合わないっていうか……。」
俺は息を吐いて間を置き、考えをまとめる。
「今日試しに使ってみたんだけど、威力が強すぎて俺にはそれを扱いきれなかったんだよ。
だから、俺があの弓にふさわしい力を身に着けるまでイザネに預けておきたいんだ。
それまでは元の魔導弓を使う事にするよ。」
俺は思い切って本音を話したのだが、イザネは困ったような驚いたような微妙な表情をしている。
「おまえの魔導弓の事なんだけどさ……」
そういってイザネは愛用の丸盾の裏を見せる。
みるとそこには、どこかで見覚えのある魔石がはめ込まれていた。
「え?
おまえ、その魔石は……」
あれは俺の魔導弓に付いてた魔石じゃないのか?
「え、ええっと……」
イザネはポイっと丸盾を部屋の窓の外に放る。
『ロドゥムエィガリル!ポチ!戻ってこーい!』
イザネが呪文を唱えると丸盾がイザネの手元に飛んでくる。
「な!?」
イザネは丸盾を両手で持ってこっちに向き直る。
は?
はぁーーーっ?
はあああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!?
「お、おまっ
確か”用が済んだら返す”っつってたよな!?
な!?じゃねーよっ!
なんで勝手に分解して利用してんだよ!」
思わずどもる俺にイザネは誤魔化すように笑って答える。
「悪い悪い、忘れてたぜ。
ま、まあ、武器は強いに越したことはないんだしよ。
おまえが早くその武器にふさわしい冒険者になれば済む話だろ。
さ、飯を食いに行こうぜ。」
イザネはあっけに取られる俺の脇をすり抜け、逃げるように階段を降りていく。
(なんてこった……)
俺はイザネの作った魔導弓を入れたカバンを背から降ろして見つめる。
(俺がこの弓にふさわしい冒険者ではないのは確かだ。
このまま使っても、武器の強さに振り回されて俺はどんな失敗をするかもしれない。
やはりこの弓は俺が使うべきではない。)
いっそ、弱い魔導弓をクラフトルームで作って貰った方がいいのだろうか……。
いや、それはなにかがおかしい。
そこまでやるのは何か違和感がある。
(……そうか、この弓から俺が逃げ回ってるみたいなんだ。)
俺のような未熟者がこの規格外の武器を使うにはやはり問題があると思う。
だがそれから逃げ回っては前進もしない。
いっそイザネの言うように、俺が早くこの魔導弓にふさわしい冒険者になるように目指して努力をしてみるべきなんじゃないのか?
力を恐れ逃げるべきか、力を求め前に進むべきか、俺のなかでぐるぐると思考がループし始めた。
どうしよう……
(子供の頃に俺が憧れていた、物語の中のドラゴンを倒した英雄ならばこんな時にはどうするのだろうか……)
……逃げるな……留まるな……
「あの英雄のように……」
俺はそう呟いてイザネを追うように肉の焼ける臭いの漂う庭に向かった。
* * *
庭に戻ると肉に勢いよくかじり付いてるイザネが目に入った。
(そういえば、アイツは朝も食べてなかったんだっけ。)
俺は東風さんに渡された皿に盛られた肉をかじる。
塩のみの味付けだから大味ではあるのだが、新鮮な焼きたての肉の美味さは格別の物がある。
俺はあっという間にひと皿を平らげると、かまどに向かった。
「もう一切れください。」
かまどで肉を仕切っていた東風さんが、丁度良く焼けた肉を選んで俺の皿に盛ってくれる。
俺はそれを食いちぎりながらイザネのところに向かった。
「さっきの魔導弓のことなんだけどさ……」
「なんだよ、まだ怒ってるのかよ。」
イザネが首をすくめる。
「違うよ。
イザネの言ったとおり、早くこの武器にふさわしい冒険者になりたいんだよ。
だから鍛えてくれないか、俺を。」
この魔導弓を使って放ったマジックアローは威力が何倍にも跳ね上がっているので、制御できる気が全くしない。
であれば、この弓の両端の槍状の部分を使って接近戦で戦う方法をまずは学ぶべきではないのかと俺は考えていた。
恐らく、こいつは接近戦用武器としても優秀である筈だ。
それに、早く武器にふさわしい冒険者になれと俺に言うくらいなのだから、イザネには俺を手っ取り早く鍛える算段があるのだろうと期待していた。
「お、やっとやる気になったか。
じゃあ、まずは初心者用のクエストを周回してだな……」
嬉しそうに語るイザネの発言に俺は割り込む。
「それ無理だって。
初心者冒険者にこなせる依頼なんて、そんなに多いわけないだろ。」
「なら、俺が手伝ってやるから適当な難易度のクエストを選んで……」
「いや、そもそもお前ら依頼を受けられないし。」
「えぇぇ!?」
「は?」
「え?」
「なんじゃそりゃあっ!」
俺の一言に四人が同時に声を上げる
「だって、まだ冒険者ギルドに登録してないんだから、ギルドに来てる依頼を受けられる訳がないじゃないか。」
「カイル!てめーはなんでそんな肝心な事を先に言わないんだよ!」
「もっと肝心な事をお前らが知らなかったからだよジョーダン。
全部一度に言ったって混乱するだけじゃないか。」
「ま、まぁ、そういう事なら早速冒険者ギルドに登録を……」
「ギルドはゴータルートの街にありますが、どうやって街に入る気ですか東風さん。」
「街なんて、行けばすぐに入れるじゃろ?」
「身元もハッキリしない人をそう簡単に入れる訳がないでしょべべ王。」
「じゃあ、どうすればいいんだ?
忍び込むのか?」
「お尋ね者にでもなりたいのイザネは?
街に入るのなら、街への出入りが許されている旅商人の一行に加わって入るのがいいと思うよ。」
「で、旅商人てのはどこを探せばいるんだ?」
「どこを旅しているかもわからない者を探す気かいジョーダン?」
「探す事が難しいのであれば、どうすればよろしいのでしょう。」
「旅商人の立ち寄りそうな村で待ってれば、そのうち来ますよ東風さん。
幸いここの傍にリラルルの村がありますし。」
「なるほど、村で待っておれば旅商人のパーティに参加できるのじゃな?」
「旅商人だって信用のない人間を仲間に入れる訳ないだろべべ王。
まずは村人の信用を得て、村人に付き合いのある旅商人に紹介してもらえばいいんだよ。」
「お前もそうやって街に入ったの?」
「俺は元々ゴータルートの街の住人だから関係ないんだよイザネ。
あ、東風さん肉が焦げそうですよ。」
「あっ、すいません。」
東風さんが慌てて焦げそうな肉を空いた皿に移す。
「でもさ、クエストを受けれないならどうやって鍛えるんだ?」
「いや、普通に訓練してくれよ。」
「そうだ、この世界はFF(フレンドリファイア)があるからPvPで対戦もできるのか!
それで鍛えよう!」
イザネはノリノリだが、その対戦とやらで俺は死ぬんじゃないのか普通に?
「お、俺を殺す気じゃないよな?」
「加減はするさ、勝負になんないからな。
そういえば、この世界のデスぺナルディってなんなんだ?」
「デスぺナルディ?」
「死んだときに課せられるペナルティだよ。
ルルタニアでは自動的に神殿で生き返ってリスタートさせられたけど、ここではどうなるんだ?」
やっぱりイザネは俺を殺す気だったのかよ!?
「死んだらそれで終わり!
自動的に生き返るとかありえないから!!
状態のよい遺体を街の神殿にもって行けば蘇生もできるだろうけど、莫大な金を要求されるし、名の知れた冒険者でもなければ門前払いだよ。」
イザネは俺の言葉に呆れたように言う。
「デスペナルティが重すぎだろ。
それじゃクソゲーじゃねーか!」
「おまえ、そんなデスペナあんのによく冒険者になろうと思ったなぁ。」
段が俺の肩の手を置いて、感心したように言った。
「カイルの以前のパーティメンバーが、なぜポーション一つであんなに大袈裟だったのかやっとわかったわい。
じゃが、デスペナがそんなに重いならFFを利用したPvP対戦もできん。
どうやって鍛えればいいんじゃ?」
べべ王は真面目に言っているつもりなのかもしれないが、俺にはツッコミ待ちのボケをしてるようにしかみえない。
「いや、普通に訓練なり稽古なりをしてくれよ!
なんでいきなり実戦からが基本なんだよ?」
「要するに訓練所や各ジョブのチュートリアルクエストみたいな事をすればいいのか。
面倒だなぁ……。」
イザネはぼやくけどさ、これが普通なんだよ、わかってくれ。
「ともかく、これで我々が次にすべき事が大分はっきりしましたね。」
東風さんが肉を口に運ぶ合間に言う。
「そうじゃのう、まずは村人の信用を得るためにもリラルルの村に行かねばならんようじゃ。
いずれ、村にも様子を伺いに行くつもりじゃったし丁度いいかもしれん。」
「どうせなら、村に住んだらどうだい?
あの村は空き家が多いし、用心棒をやってくれる人も必要としているよ。」
べべ王に俺はそう提案したが、段は乗り気ではないようだ。
「おいおい待てよ、このクラン拠点はどうするんだよ?
住むならここでも構わないだろ?」
「ここに住むとして、例えば調味料はどうするんだい?
塩もあと数食分しかないぜ。」
俺はだいぶ軽くなった塩の袋を振ってみせる。
「む、そうだな。
それは如何ともしがたい。」
段が渋々意見を引っ込める。
「おれはカイルの提案でいいと思うぜ。
この世界の村にも興味あるしな。」
「そうですね。
村にいつ旅商人が来るのかもわかりませんし、そこに住むのならタイミングを逃す恐れもありません。」
イザネと東風さんが賛成したのを見て、べべ王が方針を打ち出す。
「では、食事が終わりしだい村への移住のための準備を進めることとしよう。
わしはカイルの分の防具を用意するつもりじゃ。」
「では、私は倉庫の整理をしましょう。
クリスマスチキンも含め、腐りそうな素材は村に移住する前に片づけとかないとまずいですから。」
「じゃあ俺はカイルに稽古をつけとくぜ。」
べべ王の提案に、東風さんとイザネが続く。
「俺はこいつの供養をしてから、カイルの魔法の稽古でもしてみるか。」
最後にイノシシの頭を抱えて立ち上がる段を見て、イザネの顔は渋い表情に一瞬で変化していた。
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