声の魔法

第1話 私

綾小路きみまろさんの漫談でおなじみの夫婦ネタ

「あれから４０年。」

ま、実際は４０年もたっていないのだけれど、知り合った当時の心のトキメキはもうないかな。

結婚に夢見ている人には申し訳ないですが、結婚は生活です。

男性と女性に「結婚生活で大切なのは、お金か愛情か？」というアンケートを実施したら、男女ともに『愛情』の方が少し多いですが、ほぼ半数。

愛情が大事と答えた男性５３％、女性が５２％でした。

１％ですが、男性の方が愛が大事だと答えてます。

男性の方がロマンチストなんですね。女性は現実的だと思います。

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２００２年３月のこと

社会人になり、２度目の３月。

会社の寮に住んでいた私は部屋に戻るなり笛吹ケトルをカセットコンロにセットし、ベッドの脇にある固定電話のダイヤルのボタンを押す。

ピポパパピ。

トゥルルル～～～。

ガチャ。

あ、つながった。

「○○○○サービスです。ふつうの会話は１、アダルトの会話は２を押してください。」とアナウンスが流れる。

いつものように１を押した。

「ただいま男性会員様が近くにおりません。このままお待ちください。」と聞きなれたアナウンスが終了と同時に今流行りのＪ―ＰＯＰが聞こえてくる。

スピーカーにして、ピーって私を読んでいるケトルの相手をしにキッチンに戻りコーヒーを入れる。

仕事から帰ってきた私はテレクラのサクラのアルバイトをしていた。

テレクラって、言葉を知っている人がどれくらいいるのかわからないけれど、出会い系サイトの電話版。

今はＳＮＳが主流だよね。２０年位前にはね、そのようなものはなく、やっとインターネットができるようになった時代だったのよ。

だいぶ減ってはきていたが、テレクラの需要はまだまだ残っいて、サクラの仕事も２種類あってね、コールセンターに行って男性とお話をする人、私みたいに家にいて固定電話を使ってお話しする人。

だから一人暮らしでしかできないよね。親いたらやろうとも思わなかったんだろうな。

あと、今思えば寂しかったのかな。平日休みの仕事だったので、友達と休みも合わないし、初めての一人暮らしで回りにいるのは職場の人たちだけ。しかも男性社会の世界に飛び込んだので、同僚や先輩も男性。知らない人と話して寂しさを紛らわしたかっただけなのかも。

報酬も意外とよくてね、普通の会話で１分１００円くらいだったかな。アダルトな会話だと１．５から２倍だった気がする。

普通の会話というのは言葉通りね。他愛のないおしゃべりや愚痴など、基本的に吐き出させてお金を稼ぐの。アダルトは「今どんなパンツはいてる？」が挨拶みたいな感じだった。

テレフォンセックスもしたよ。

いつの時代でも同じ様な問題があってね。ＳＮＳで知り合った人と会っちゃうってことでよくニュースにもなってるんだけど、サクラも会うことは禁止されていたんだ。

【引用】

「結婚生活で大切なのは、お金か愛情か？」アンケート

保険マンモス株式会社

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000096733.html