第十八話「魔族ガニング VS 都市長ヴァルシア」

バーディとエヴァンジールが移動後


「お前は何者だ」

ガニングが横柄な態度でヴァルシアに問う


「人に名を聞くならまず自分からと教わらなかったのですか?」

その言葉にガニングは怒り、殴りかかる

踏み込みヴァルシアの頭めがけて打ち下ろす

ヴァルシアは軽やかに避ける

打ち下ろさせられた拳は地面を割り揺らす。


「短気ですねぇ、まぁいいでしょう。

私は始帝国ファウストの都市長が1人。『魔神』ヴァルシア。貴方のお名前をお聞きしても?」


「俺の名前はガニング。この後この国の王になる男だ」

「王ですか!それは大きく出ましたね!」


ケタケタと笑うヴァルシア、自分の思想を笑われ怒り沸騰なガニング。


「お前は、俺の手で殺す」

「できる物ならやってみなさい」


そこからは激しいぶつかり合いが始まる。



             *



「ほら、当ててくださいよ」

「うるせぇ!!」


何度も何度も殴りかかるガニングと避け続けるヴァルシア。

すると、ガニングが足を止める。


「もう終わりですか?」

「そうだな、お前の終わりだ」


そしてガニングの体が赤く光る。


「起動!不死鳥形態フェニックスフォース!!!」


ガニングの背中に不死鳥を模した刺青が現れる。


「これで、終わりだ!」

「受けて立ちましょう」


ガニングが鋭い突進とともに拳をヴァルシアに突く。


ドゴォォオオオンという大きな音と共に砂埃が起きる。


体がが吹っ飛び、四肢はもげ、人の形もわからない肉塊と化した。


相手がヴァルシアでなければ…


砂埃が収まると

そこにはガニングの拳を片手で掴むヴァルシアの姿があった。


「なんだと!!ありえない!」


驚くがすぐさまガニングは飛び退く


「あら、まだ続けているのですかヴァルシア様?」


そこに現れたのは、バーディとの戦いを終わらせてきたエヴァンジールだった。

「もう終わったの?早いね、エヴァンジール」

「ヴァルシア様、ジン様を待たせてしまいますよ」

「そうだね、もう終わらせるところだ」


2人が話しているとガニングが無視されていると思い叫ぶ。


「俺を無視するなぁ!」

ヴァルシアを殴ろうと踏み込もうとする


「いや、君はもう終わりだよ。第十一階梯・黒き重球ブラックホール


ヴァルシアの目の前に小さな黒球が現れる。

ガニングはすでに踏み込みヴァルシアに向かって殴りかかっていた。ガニングは、そのまま黒球に吸い込まれる。


「何故あの方とおなじぃぃぃ…」

そしてガニングはいなくなった。


こうして、ガニングや悪魔を含む20万を超える大軍はたった26人の手で全滅させられたのだった。



          *



ガニングとの戦いが終わり

翌日、シルフィリアの城にて

第一王子ブラス 第二王子ムートの葬式が行われた。 


「この、2人の勇姿に神樹の御加護があらんことを」

とシルフィリアの神官が話終える時室内に誰かが入ってきた。


「ブラス!ムート!」

入ってきたのは美しいエルフの女性

そのエルフに会場にいる全員の視線が向かう

そしてルイが誰か気づいて声を上げる。


「ニール姉様!」


そこに現れたのは第一王女ニール・シルフィリア


自由と発見を求めて王女ながら世界を旅している変わった人物だと聞いている。


「ルイ!ニールとブラスの亡骸は!?」


焦って声が大きくなるニール


「姉様、亡骸はブラス兄様のものしかありません。ムート兄様はブラス兄様を救おうと自分ごと爆裂魔術を使用して亡骸は見つけられませんでした」


ルイは泣きそうになりながら「申し訳ございません」と声を振るわせて言った。


ニールも落ち着いたのかルイの背中をさする


「大丈夫だよルイ、あなたのせいじゃない」


そして、ニールは唯一亡骸の残ったブラスの棺の元まで歩く。


「何してるんだい…悪魔に唆されてみっともない。それに死んじまったら叱れないじゃないか…姉より先に死ぬなんて…」


ニールの肩が震える。強く握る手からは血が滲んでいた。


「なんで、会いたいと思った人が会えずに死ぬんだろうねぇ…こんなことになるなら、もっと会いに来ればよかったよ」


ニールの目から涙が溢れる。

深呼吸して涙を拭う


「愛してるよ。ブラス…ムート…天国で母様に叱られておきなさい」


そして、花を手向けた。



不思議とブラスが笑ったように見える。



          *



その後、ジンたちは国王ブレイブ・シルフィリアと同盟に関して詳しく話をした。


決まったことは大きく三つ


・相互の協力体制の構築

主に国に危機が迫った場合に食料の援助、軍の加勢など。


・貿易の関税に関して


そして、

・空港の建設


が決まった。


他にも使節団を年数回送る事や大使館の建設も決定した。


そして、大使として第二王女のルイ・シルフィリアが来ることになった。


この同盟は始帝国と神樹国家の同盟ということで後に神帝同盟と呼ばれた。


神樹国家は他国との関わりをほとんど持たない排他的な国だったため。この同盟は各国が注目するものとなった。

       

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