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これでひとまず『出会った日の話』は終了なんだけど、聞いている『あなた』は退屈ではなかっただろうか。
これでひとまず『出会った日の話』は終了なんだけど、聞いている『あなた』は退屈ではなかっただろうか。
もし興味を持てなかったなら、ここで解散ということにしても全然構わない。
よく知らない他人の話なんて真剣に耳を傾けてくれる人のほうが珍しいし、俺だって誰かの話を他人事として聞き流してしまうことが日常的にあるから。
そもそも、ただでさえ今はそれどころじゃないくらい疲れているはずだ。
こうして長く困難な道を登っているんだからね。
だけど、もしあなたがついてきてくれて、しかも話を引き続き聞いてくれるというのなら、俺は心の底から嬉しく思う。
さて、その選択はあなたに任せるとして、俺は再度昔話を始めるための準備をする。
何事にも準備が必要だ。
例えば、今ここに来るまでにも俺は数々の準備をしてきた。
運動不足だったから意識的に歩く距離を増やしてみたり、必要な道具を調べて買い揃えたり、できるだけ夜早く寝るように心がけたり。
実際にはすぐに息切れして体力のなさに自信を失くしたり、お金が足りなくて最低限のものしか買えなかったり、夜寝る前にこの場所について調べちゃってなかなか寝付けなかったりしたんだけどね。
まあ、それもご愛敬だ。
とにかく、ここにちゃんと来ることができたということ。
それを思えば、準備にかけた費用や時間は決して無駄ではなかった。
遠回りだったとしても、このルートが良かった。
俺と千歳の話をするのにも、同じように回り道をすることがあるだろう。
だから、仮にほとんどの部分がなかったかのように無視されて「無駄の多かった話」と判定されたとしても、それは仕方がないことなのかもしれない。
でも、俺にとってはすべてが必要なことだったのだ。それだけはわかってほしい。
歩いてきた足跡を全部辿って語ることはできない。
だけど、残っているものをできる限り集めながら話していくので、焦らずに付き添ってくれたらありがたい。
道中は暗く、険しい。
だが、今はとにかく少しでも先へ進むことが肝心なのだ。
というわけで、昔話を再開しようと思う。
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