不運な男が事故物件に住んだ結果、怨霊さんにデレデレになるまで呪われました。

NeKoMaRu

01プロローグ

 男は不運であった。もちろん、全てをただの運だけで済ませることは出来ない。不運では無くただ男が迂闊であった場合もある。だが、男は不運の内にその手に幸せを掴めたのだ。


 産まれた時から、男は不運という物に憑き纏われていた。


 母親は男を出産した後に体調を崩し、そのまま帰らぬ人となり、男手一つで男を育ててくれた父親は男が10歳の時に交通事故に巻きまれて亡くなってしまった。


 まだ10歳という子供であった男は、そのまま父親の親戚だという人間の元に引き取られる事になった。しかし、その親戚は男の持っていた父親の遺産だけを手にし、そのまま蒸発。またもや一人となった男は、結局は養護施設へと預けられることになってしまう。


 そして、預けられた施設ーーそこもまた、碌な物では無かった。毎日のようにある虐待、明らかに少ない食事・・・男にとって、そこでの生活はただただ辛いものでしかない。


 だが、それでも男は生き、成長して行く。そうして、男はようやく働くことの出来る年齢となった。男は定時制の高校に通いながら、必死にアルバイトをこなした。少しでも金を貯め、なるべく早く施設を出る為である。


 その甲斐もあり男は高校の卒業と同時に施設から出ることが出来た。男にしては『幸運』なことに、その頃には就職先まで決まっていたのだ。


 就職の決まった会社は、世間からみれば決して優良と云えるような会社では無い。だが、人間関係が希薄、且つ言われた事だけを淡々と熟していればよいという会社は、男にとってはとても相性が良かったのだ。


 この幸運もまた、人によっては不運であったであろう。飽くまでも、男にとっての幸運でしかない。


 結局のところ、男ははやり不運なのだ。この物語は不運の中で幸運をーーいや、より大きな不運を掴んでしまった事で、幸福になる男のちょっぴりホラーな、ラブコメ話である。


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以前に、なろう様の方でもこれと同じ話を上げておりました。

こちらはそれの加筆修正版でほとんど別物となっています。

出来れば週に四回くらい上げていければなーっと考えております。よろしければ、星お願いしまっす!

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