第10話 謎の影

 「本を持っていったのは、私たちにも分からなかった。

でも、どんな人なのかは、分かってるよ。」

「どんな人なの?」

慶一が割って入るようにこう言った。

「閻魔のおっちゃんのもとで、働いてて、しょっちゅう、幽霊歴史図書館に通ってたらしいんだ。」

 幽霊歴史図書館には、私もよく行っている。

そんな常連さんなら、見たことあるはず、なら、すぐわかるかも!

慶一は、私の顔をうかがってから、話を続けた。

「だけど、ここ数年、図書館には、行っていないらしい。」

「つまり、零夏の知っている人の中に、いないかもしれないんだよ。」

鈴が、追加で、話してくれた。

「それなら、閻魔大王様に今度、話を聞いてみるのは、どう?」

「それが,,,,,」

私の質問のあと、しばらく、静かになった。

「閻魔のおっちゃん、今、出張中なんだよな。」

「そっか、それなら、幽霊歴史図書館に行って、閻魔大王様のもとで、働いている、人の本を探して、1冊ずつ確認して、探せばいいんじゃないかな?」

鈴から、冷たい視線が送られた。

「それが時間かかるから、あなたの記憶を取り戻すんでしょ。」

あっ、そうだった。

記憶を取り戻すために、彼らと任務の話をしてるんだった。

「そういえば、二人とはじめて話したときに、"一度あったことがあるだろ?"って、言ってたよね。

二人と昔にあったことがあるのなら、その時の二人の口癖なんかを聞いたりすれば、思い出せるかもしれない!」

「そこまで、私たちが、覚えてるわけないでしょ?」

鈴が、あきれたような言い方で、言ってきた。

「そっか、ごめん、もう少し考えるね。

今日は、解散と言うことで、じゃあね。」

 私たちは、解散した。

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