第3話 幽霊歴史図書館
ガチャリ図書館の中にいる、小さなお化けが、重たくて分厚いドアを開けた。
私は、この図書館に来るときに、いつも思う。
あの5㎝ほどしかない、お化けがどうやってこのドアを開けているのだろう?
そんなこと、今はどうでもいい。
私が、ここに来た理由は、昨日の慶一と鈴の発言の意味を、あばくためだ。
この幽霊歴史図書館には、色々な本がある。
例えば、人間界にある図書館のように、絵本や図鑑、小説もある。
だが、それだけではなく、この図書館には、一人一人の人間の歴史の本がある。
ただ、その本には、その人間の前世やそれよりも前の姿の歴史も書いてあるのだ。
だから、私は、ここに来た。
そう、慶一と鈴の前世の歴史を調べに来たのだ。
「今日は、何を調べに来たんだい?」
ここの管理人のおじさんが聞いてきた。
おじさんには、名前がなく、いい名前も浮かばないから、おじさんと呼んでいる。
「おじさん、斎藤慶一ていう人と、佐藤鈴ていう人の歴史本ない?」
おじさんは、いくつかの本を持ってきた。
「この中にないかい?」
私は、ペラペラと本をめくってみた。
慶一ていう名前の人の本にも、鈴ていう名前の人の本にも、昨日の事が書いてなかった。(彼らの本がない?それともおじさんがまだあるのをわすれてた?)
でも、おじさんが間違えるのは、自分の歳だけだ、つまりは、彼らの本は、もともとないのか?
だとしたら、なんで彼らは、普通に人間界で暮らせるんだ?
とりあえず、その事は、彼らに話さないことにした。
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