いつ どこで 誰が 何を どうした を決めて物語を書いてみた
彼方のカナタ
2122年オゾン層で学生が写真を放した
今から百年前である2022年
殆どの人が知っていたことば
新型コロナウイルスとかSDGsとか地球温暖化とか…そんなことがよくニュースになって人々の間で討論が行われていたりもした。
その話題の一つがオゾン層の破壊である。
しかし、2050年代オゾン層破壊以前の状態迄のオゾン層の回復が観測された。
人類は歓喜した。オゾン発生器や有害物質の削減もしくは完全除去による環境の安定化が見込めまた存続可能性が提唱されていく時代へと変化していったからだ。
この頃、環境安定化または持続可能な社会等の研究と並列して宇宙の秘密の探求、宇宙旅行計画の実施、また民間人の参加が可能になっていった。
…………
………
……
…
。
そして、現在。
環境問題もほぼ解決され、人類が次なる技術への進歩することさえも期待されていた。
宇宙旅行計画も既に実行されており、多くの乗客が既に宇宙へと旅たちまた帰還してきた。
鈴木悠二もその一人。
彼は高校生ながらもまだ少し高いと世間で言われている3週間の宇宙滞在から地球へと帰還しようとしている最中である。
彼の乗る宇宙船の船長は安全な旅を届ける事で特別有名な方であり悠二は幸運だった、そう思っている。
「悠二、そろそろ地球ヘ帰還するが準備はいいか?」
普段から気さくで親しみやすい彼の雰囲気から一転、真剣な顔で聞いてきた。
以前彼に聞いたところいつもこの瞬間は緊張するらしかった。
しかし、今回は違う。
彼によると現在、地球で何らかの事故による大量のオゾン発生が起きたという。しかし、オゾンによる影響は小さく直ぐ消えるとのデータがあるため危険は少ないそうだ。
もちろん悠二は肯定し、直ぐに帰還できるように、と頼んだ。
簡単にいうと家族が心配なのだ。
「分かった。今すぐ帰還する。」
そう言うと船長は操縦室へ戻りいつもどおり操縦を始める。
ここで問題が起きてしまった。
船が故障していて安全装置が起動しないのだ。
それを聞いたとき悠二は、冗談だと思った。
しかし、船長の顔からは先程よりも真剣で必死であることが分かった。
船長はいきなり
「お前には今からこの機体についている別のカプセルへ行ってもらう。それで地球に無事に帰れるはずだ」
悠二は疑問に思った。
船長は?
そう言うと彼はここに残り、帰還するという。まだカプセルのほうが安全で期間後も数週間はカプセル内で過ごせるだけの食料等が保存されているらしい。
悠二はカプセルへと入り宇宙船から離脱、地球へと向かった。
それから数分、船長の乗る宇宙船が機能停止したのが遠くに見えた。
悠二はもう少し遅れていたら自分も死んだかもしれないと思うと同時に船長が死亡した事を受け入れられなかった。
あの優しい船長が…
しかし彼がその気持ちでいられるのもそう長くなかった。
このカプセルでも異常が検知され悠二は宇宙空間へと放り出されたのだ。
悠二はもちろん宇宙空間では生きられない。
彼はお土産である数多くの写真と家族との思い出の写真一つを握りしめたまま冷たくなっていった。
そして、彼の手からは握りしめていた写真が放された。
写真は直ぐ色を失い彼の命とともに宇宙空間へと消えていった…。
上空30キロメートルのことであった。
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