初恋~君に捧げる文字~

@asa-gao

第1話文通

私は小学6年の愛野一音(あいのいちね)。

本とビーズでアクセサリーを作るのが趣味の普通の女の子。

親友の相澤零(あいざわれい)と一緒によくビーズを選びに行くのが楽しみ。

零は幼稚園から一緒で、一番長い付き合いの友達。零は美人で頭が良くて、ほんとに小学生!?ってびっくりするくらい大人っぽい子。だから、凄くモテる。スカウト?もされた事があるみたいだけど、本人は全く興味がないらしい。

私も零みたいに生まれたかった、と何度思ったか…。

で、あともう一つ楽しみにしているのがある。それは、文通。

この事は零にも、他の友達にも話していない。

自宅に手紙が届くから両親は知っているけれど、もちろん内容は秘密。今はメールか電話が当たり前みたいになっているけど、私は手紙が好き。文字が好き。メールも電話も悪くないけど次はどんなレターセット使おうか、そこからすでにワクワクする。

相手は《池多拓斗(いけだたくと)》君って言って同い年の男の子。お父さん同士が昔からの友達で、10年以上前に拓斗君のお父さんが海外に転勤が決まっても電話やメールなどでずっと交流していたみたい。拓斗君とは赤ちゃんの頃会っているみたいで、最後に会ったのは4年前で7歳くらいだった。

小さい頃の時は覚えていないけど、7歳の頃の時は、はっきり覚えている。

だって、初めての海外だったから。

ドキドキワクワクで眠れなかった。拓斗君とも仲良くなれるかも不安だったけど、でも心配する事なく拓斗君とも拓斗君の友達ともすぐに仲良くなれて凄く楽しかった。

別れる時に、手紙書くねって約束して、それからずっと続いている。

私は2歳くらいから英会話を習っていたから、少しだけ英語が理解できた。でも拓斗君は英語も日本語も出来たので手紙は日本語でしていた。たわいもないやり取りだけどそれがなんだか嬉しかったし、ドキドキした。

ある日に思った。

「私、拓斗君が好きなんだ…」って。


6月のある日。

お父さんが私に「8月に拓斗君たちが一時的に帰国するぞみたいだ。」と。

その言葉に私はドキッとした。

会える、んだ…。でも、嬉しさと不安が半分。


だって、拓斗君の好きな人は…零だから。


昔、零や他の友達と撮った写真を拓斗君に送った事がある。それから、拓斗君は必ず零ちゃんは元気?何が好きの?って色々な事を書いてくる時がある。私は読みながらボロボロ泣いてしまった。私の"好き"は叶わない…。

それを突き付けられたようだった。でも、もうそんなのは関係なく私は拓斗君が好きになっていた。

あと2ヶ月後に拓斗君が来る。

今まで引っ込み思案で自分から何かをなんてした事なかったけど…。

私、拓斗君に気持ちを伝えるよう。

次の手紙に書こう。

「拓斗君が好きです!」って。




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