第19話、ギルドマスターの正体。


俺達がギルドに着くと受付嬢のリリーが足早に近づいてきた。


「ク、クロムさん達!ギルドマスターがお呼びです!今すぐに来てください。」


俺達がギルドマスターの部屋に入ると重苦しい空気が流れた。


「...君達は一体何をしているんだ?お母様も一緒だと言うのに。」


「いや~、俺は別に頼まれた依頼をこなしただけだが...。」


「僕はドンパッチーニの建物が無くなっているのはどういう事かって聞いてるんだ!!」


「そ、それはだな~、トーマスとシャルルがケンカをして壊したんだ。うん、俺は知らない。」


「おい!!一人だけしらばっくれてんじゃねーよ!!建物吹っ飛ばしたのアンタだろーが!!」


「そーだ、そーだ!!クロちゃんが全て吹っ飛ばしたんじゃない!それをアタシ達に擦り付けるなんて、この人でなしが!人間のクズ!クズ・オブ・ザ・クズ!!」


「クズってなんだクズって!ふざけんじゃねぇよ!!俺だってこんな依頼やりたくてやった訳じゃねーし!大体シャルルがこんな依頼を持ってこなければ...」


なんて俺達がやいのやいの言っているとギルドマスターがバンッっと机を叩き、


「...君たち、いい加減にしないか。...しっかりとちゃんとした説明しなさい。お母様もですよ!!」


「「はい...。」」


あまりのギルドマスターの形相に俺達は大人しくあったことを簡単に説明をした。


「...なるほど、そういう事か。それはしょうがない....ってならねーよ!!極秘に頼んだのにこんなに大事おおごとにしてしまったら意味無いじゃん!!絶対、面倒事が僕の所に来るじゃん!」


頭を抱えてテーブルに佇むギルドマスターを見ていたたまれなくなった俺は責任転換をする。


「頼む相手を間違えたな。おもに、シャルルが。」


「おぅおぅ!クロちゃん!建物吹っ飛ばして置いて人のせいってどういう神経してんだコラ!!す巻きにして海に沈めっぞ!コラ!!」


シャルルお前が最初から俺に依頼を頼まなかったらこんな事になってねーんだ、コラ!コラおじさんも黙ってねーぞ!コラ!!」


「んだ、コラ!」「やんのか、コラ!」


俺とシャルルがコラコラ言い合ってるとトーマスが止めに入る。


「2人とも落ち着いてください。今は責任の擦り合いしてる場合じゃないでしょ?これからの事を話し合いましょうよ!」


トーマスの言葉に俺とシャルルは目が合う。

そして、トーマスが標的になる。


「何一人だけ責任ありませんみたいな顔してんだ、コラ!!」


「童貞の癖に一人で突っ走るからこんな事になったんじゃねーのか、コラ!!」


「そうだ、そうだ!!お前がゴブリンに涙してたから悪いんじゃねーのか?童貞、コラ!」


「いや、童貞は今は関係ないでしょ。今は。

それに僕だって街にゴブリンが居るなんて思いませんでしたし...。」


「童貞君!!今の話は本当かい!?」


ギルドマスターが身を乗り出してトーマスに聞く。

「ぼ、僕が童貞なのは本当ですよ...。それが何か問題でも...?」


「いやいや、君が童貞とかそんな事はどうでもいい。街にゴブリンが居たって今言ってなかった?」


「どうでもって...。...はい。子供はゴブリンで修道服を来ていたシスターはトロールでしたよ...。僕だって好きで童貞な訳じゃないのに...。」


トーマスはいじけて体育座りをして床をイジイジし始めた。逆にギルドマスターの目には生気が宿った。


「よし、よおし!なら何の問題もない!大義名分はこちらにある!!良かった~!本当に君たちもちゃんと細かく話してくれないとダメだよ。良かった、良かった。」


安心しきった顔のギルドマスターにシャルルが話す 、


「ギルちゃん、説明してくれるか?」


「ギルドマスターってギルちゃんって名前だったの?シャルルさん、ちょっと安易に付けたんじゃありませんか?」


「バカ者、そんなダサい名前付ける訳ないだろ!この子の本名はギルバード・シャルルネ。私が作った人造人間ホムンクルスじゃ。」


「な、な、な、何ですとぉ~!!」


俺は驚きすぎて顎がハズレてしまったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る