第4話 アヴァロンの王女
その石造りの部屋の広さはおよそ学校の教室ぐらいだろう。
石造りのためか空気がひんやりしている。
校内でも有名な
正面の玉座に座る人物を見て、正直びっくりした。彼女は僕の妹理緒だった。白いドレスを着て、髪の毛はまっすぐに下ろしているが間違いなく理緒だった。
「理緒‼️」
僕はは思わず理緒の元に駆け出した。
どうしてこんなところにいるんだ?
すかさず目の前にあの鉄鎧の男があらわれ、抜剣し、切っ先を僕にむける。
危ない、その剣が僕に突き刺さる直前、とんでもなく柔らかいものが僕の動きを止めた。
それはあの鷹峰麗華だった。
僕は鷹峰麗華に抱き抱えられる形で鉄鎧の男の切っ先から逃れることができた。
うわっ、あのおっぱいが顔にあたっているよ。
「呼び出しておいて剣をむけるなんてひどいじゃないか」
僕を抱きしめたまま、鷹峰麗華は言う。
「少年、あれはそっくりだが君の妹ではないよ。彼女はこのアヴァロン王国の第一王女リオネル殿下だ」
そう鷹峰麗華は耳元でささやく。
鷹峰麗華の息が頬にあたり、気持ちいい。
それに顔にあたる極上の柔らかさ。
これがあの伝説のJカップのおっぱいなのか。
僕は感動すら覚えている。
けど、この天国のような時間は長くは続かなかった。
「いつまで会長にくっついているんだ」
そう声がし、僕は引き剥がされた。
ああっ名残惜しい……。
僕を鷹峰麗華から引き剥がしたのは渡辺蓮。
生徒会役員でたしか書記をやっているはずだ。
長身で女性のように優しげな顔立ち。
当然のように成績優秀。
しかも一時期、鷹峰麗華と噂になったこともある。それはガセネタだと信じたい。
「ちっ余計な真似を……」
なぜだか、鷹峰麗華は舌打ちした。
「ラインスロット、お下がりなさい」
妹そっくりのリオネル王女が言うとその屈強な鉄鎧男は渋い顔で後ろに下がった。
「しかし、これはどうしたことでしょうか」
声までそっくりなリオネル王女はとなりのローブの人物に声をかける。
ローブの人物は鼻先まで隠れているフードをとる。
赤い髪の女性だった。
この顔、どこかで見たこがあるぞ。
そうだ、僕に蛇を飲ませて異世界に送り込んだあのメドゥーサだ。
違うところといえば髪の色ぐらい。
しかし、ここでまた騒ぎをおこせばあのラインスロットに切りつけられかねない。
自重するとしよう。
「臣エウリュアレが愚考しますにかつて千年前に魔王軍の侵略からわが国を救いし七騎士ですが異世界より渡来されたおりの人数は聖伝には記されておりません。故にこのお方ももしくは騎士の資格があるやもしれませぬ」
エウリュアレと名乗る赤髪の女性は言った。
彼女はずっと瞳を閉じている。
目が不自由なのだろうか。
名前もちがうのであのメドゥーサとは別人だろう。
顔は似てはいるが……。
「そうか。ならばこの御仁にも話を聞いてもらおう。我がアヴァロン王国がとのような状況にあるかを」
リオネルは言い、僕をふくむ八人に視線を送る。
王女リオネルは語る。
このアヴァロン王国が国家存亡の危機を迎えていることを。
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