俺は被害者?加害者?

美優さんに車で最寄り駅まで送ってもらった後、そのまま下宿先に戻りそのままベッドに倒れ込んだ。


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「いやマジでわたし結婚してるって言ってるのに、コイツがしつこく求めてきて無理やりされたの!」

え?



「家内もそう言ってる。遊んでそうな外見の君が、知らなかった。とか通用すると思っているのか?」

は?



「てか無理矢理だったし訴えちゃおっか!w」

「家内も深く傷ついている。公になりなくなければ慰謝料をだな」

「大学は退学だろうなぁw」

「150万?w」「300万?w」「500万!」

「お兄さん顔いいし、稼げる仕事紹介するよ?w」


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ゆ、夢か...シーツが汗でびっしょりだった。

美人局...大学のツレが遊ぶ金が無いときに、セフレを使ってサラリーマンからお小遣い貰ってるって言ってたな。こえぇよ。




そうだ。身の潔白を示すために、付き合ってからのラインや通話履歴を全てスクショしとこう。あとは付き合った経緯、今までしてしまった不貞行為...も説明できるようにまとめとくか。


暫くしたら美優さんから『病院行った?なんか今日の夜も予定空いたんだけどゆーくん暇?』ってメッセージが来たけど、将大さんから今夜残業あるとか言われたんだろうか。仮に残業だとしたら、主人は汗水たらして家の為にお金を稼いでるんだぞ。すぐに浮気しようとするなんて病気じゃないか。


とりあえず『ごめん!まだ腫れてるんだ。医者に安静にするよう言われたよ。それに美優さんを気持ちよくできないと思うし次会うときにしよう!』とそれっぽく断った。



時間が近づいてきたので、相手に失礼の無いような格好で待ち合わせ場所に向かった。待ち合わせの場所で5分ほど待っていると将大さんも到着したので真っ先に頭を下げに行った。

 

俺は昨日写真見たから分かったけど、彼はとても驚いていた。

 


彼が予約してくれた個室の居酒屋で、俺は自己紹介、美優さんとの関係、ラインの内容、通話履歴、浮気と気付き電話した経緯を嘘偽りなく話した。

途中から涙出てきたが、将大さんは顔色一つ変えず黙って聞いていた。


「若井君、君は嘘を言っていなさそうだね。」の言葉と同時に俺は泣き崩れてしまった。それを見た将大さんも少し目に涙を浮かべていた。


「不貞行為をしたのは事実、罪を償います。今は学生で例え毎月の少量になりますが必ず全額支払います。」


しゃくりあげながら言ったが


「若井君は、美優が既婚者とは知らなかった。つまり君も被害者なんだよ。私は美優からは慰謝料を取るが、君からは取らないよ。」


と笑顔で答えてくれた。



昨日の将大さんの画像を見たときの俺をぶん殴りたい。この方は自分が一番の被害者なのに、一番悔しいはずなのに、寝取られたはずなのに咎めないなんて...。


「やっぱりATMだったのかぁ...僕みたいな冴えない男が、こんな可愛い奥さんと釣り合わないって皆から言われたんだよね。それに最近パートとかで夜帰ってくるのが遅いなとは感じてたんだ。」と自虐気味に笑っていた。



「あとはこっちで何とかするよ。離婚まで向こうに勘付かれないように少し泳がす。それに君にも少し協力して貰いたいんだけど...」

将大さんの考えはこうだ。


美優さんに出張で3日空けると言う→美優さんは必ず俺を誘うはずだから乗ったフリをしてほしい→そしてホテルから出てきた時にたまたま鉢合わせ。


「ホテルに入る時では駄目なんですか?」と意見したが、それだと間違えて入りそうになったと逃げ道が出来てしまう。入る瞬間も撮っておいて出た所で捕まえたら言い訳できないだそうだ。でももう美優さんとするのはやだなぁ...。



「本当に申し訳ないけど、AV撮影の一種だと割り切ってよ」と肩を叩かれた。





1週間後に案の定、美優さんからお泊まりのお誘いが来た。


「最近忙しくてごめんね!!なんか昨日ね、友達が車貸しちゃって...今日歩きだけどいいかな?代わりにいっぱいイチャイチャしよね♪」


前までイタズラっぽいお姉さんと思ったけど、もうただのクソビッチにしか見えんな...。


カフェとか色々行く度に、将大さんに場所を報告した。所々で友達(笑)が借りてる車を見かけたときは笑いそうになったよ。


そして夜になってホテル入った時に将大さんからグッジョブのスタンプが送られて「どこで待機してたんだ!?」と少し焦ってしまった。




室内にウォータースライダーのある部屋にした。はしゃぐフリして「珍しいから動画撮っていい?」って聞いたら即OK。あとはテレビとブルーレイの隙間にスマホを置いて...。





 本日!俺、若井悠斗はAV男優になります!










・・・・・・。













一通りやることやったので、バレないようにスマホを回収した。









若干ヤケクソで楽しかった。二度としたくないけど。







翌朝、クソビッチさんと今日遊びに行く場所を話しながらチェックアウトすると、見慣れた車が...。


「動物園行きたーい!!うさぎ触りたーい!!触りたいピョン♪」


両手を頭に乗せてうさぎの真似をするクサビッチさん、そんな所よりももっとエキサイティングな場所があるよ。




「'“裁判所”はどうかな?美優」







「えっ...」
















































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