南風への応援コメント
フィンデルさんの方角企画から参りました。
まず、この短さで人一人の人生を振り返るようなスケールのある作品にまとまっていることがすごいなと思いました。場面の収まった写真を一つひとつ捲っていくような、感情を込めないで過去を捨て去っていくような語りが主人公の心情を深く表しているように思えました。
私もこの作品の方角は、北西かなと思います。「南に焦がれていた」など所々に抽象的で西寄りの表現はあれど、基本的には簡潔で説明的な読みやすい文章で綴られていて、読者を意識したわかりやすさ、大衆性を感じました。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
感情を込めない書き方ですが、視点を女ではない第三者視点(この場合男ですが)にしたことで、強制的に感情描写を排除した形を取りました。
今回は男の感情描写も排除しているので、読み手が誰かに感情移入すると言うよりも自分の感情で読めるのではないかなぁと思った次第です。
ただ、私も最初は「北西だ!」なんて意気込んではいたのですが、何度か繰り返し読むにつれて、だんだんと北寄りに思えてきてしまいました。
だぶん、初読と二度目では感じ方が違ってくるのではないかな、と思います。
そこに森山様が大衆性を感じたのではないかなと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
南風への応援コメント
おぉ、カッコいいお話……!
なんというか切ないですね。幸せって凄く曖昧で、結論その人が幸せを感じていたら幸せなんだと思うのですが(そこが幸せの好きなところでもあるのですが)、この物語の「女」と「男」はそれを少しでも感じていたのだろうが、と思わせてくれるところがとても良いと思います。
なかなかキツめの人生を歩んできた「女」ですけど、少しでも南に近づけたのか……近づいたと思ってほしい。そう思わずにはいられないヒロイン像だと思います。
方角のお話ですけど、北西だと思います。西方面の雰囲気は存分に出てるんじゃあないかと思いますね。
しかし、哀しい物語だなぁ……
ラストの札束が舞うシーンはとても良いと思います。上質なショートムービーでも観ている気分になれました。
えーきちさんが西を目指すとこうなるのかという、素敵な物語でした!
作者からの返信
女にとって南はどこだったんでしょうね。
幸せになれたのかどうかは、薮坂様の心で決まる事でしょう。
ちなみにこの話では感情描写を排除しています。
真ん中のパートは男が女から聞いた事程度ですので。
女も男も感情の描写は極力していません。
なので、読み手の感情をのせやすいのではないかなと思います。
最後まで読んでくださって、また評価もありがとうございました。
南風への応援コメント
方向音痴な私ですが、西南西?と思いました。エンタメ色はなかったような…?
時間のない中書き上げた作品なので仕方ないかなと思うのですが、ちょっと不幸の描写がテンプレ的かなあと思ってしまいました。
最後に誰の視点かわかるのがおもしろいと思いました。
私はすんなりと感じ取れましたよ。
また、ラストの数行の完成度が高いのが素晴らしいと感じました。このラストのためにあった物語かなあと。
南風と書いて「はえ」と読むのも、へえ、という感じで良かったです。
> 女はそう言って笑った。屋上の柵の向こう側で振り返って。
柵の上に備えつけられた有刺鉄線に布の切れ端が揺れていた。
柵に近づき暗がりに目を凝らすと、女の華奢な腕や白磁のような足に細かい赤い傷がいくつもあった。大きく大きく裂けた傷もあった。
女の命がとくりとくりと流れ落ちていた。
女はボストンバッグをビルの下に向けてひっくり返した。
何枚もの札束が紙吹雪のように夜の街に舞った。
南風が吹いた。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
ここに方向音痴はあるんでしょうかね?(笑
不幸の描写がテンプレ……ああ、そうかも。あまり意識してなかったかもしれません。
自分的にはかなり西に向けて書いた気がするんですけど、だんだんとやっぱり北に寄ってるのではないかなぁなんて思い始めています。
うーん、どうなんだろう?
西向きは難しいのです!
ラストを褒めていただいてうれしいです。
逃げた理由とか、金を捨てた理由とか、考えて読んでくださるといいかななんて思います。
最後まで読んでくださって、また評価もありがとうございました!
編集済
南風への応援コメント
こんばんは〜。
企画参加されたんですね。しっかり西向きを意識された作品だと思います。なるほど、えーきちさんが西を向くとこんな感じになるんですね。
逃げ出した後の女の内面をあえて描写しないところが想像をかきたてます。
全体通して色彩がグレーで、夜の街の無機質な冷たさと女の中に常にあった凍えが表現されてました。
指摘するとしたらですが、視点の移動が分かりづらいですね。冒頭でコートをかけた誰かの視点からいつの間にか女が過去を語り始めている箇所と、終盤で『それは夏の終わりだった』の後でどういう風に視点が変わったのか、もう少し説明が欲しいかなと思いました。
追記
あ。すいません。全部男の視点なのは分かったんですよ。書き方を間違いました。
要は最初に路地裏で出会って、それまでの男たちと同じように一緒に過ごすようになって、同じように出ていった、ってことですよね。
ただ、それを描写から読み取って考察しないと分からないっていうのがちょっと説明不足かな、と。
例えばですけど、冒頭で『そのままなし崩しに始まった女との生活の中で少しずつ女の過去を知っていった』みたいな説明とか、最後の視点切り替えの時にも『女と暮らし始めて〇〇くらい経った頃、女はいなくなった』みたいな一文があると分かりやすいんじゃないかと思います。
宜しければご参考になさってください。
作者からの返信
あー、上手く表現できてないなー。
これ実は全部、最後に一緒にいた男の視点なんですよ。
中盤の女の語りも、男が聞いた女の過去。
コートを掛けたのも、女の過去を語ったのも、最後に女を追いかけたのも、ひとりの男の視点です。
どうするかなぁ……『それは夏の終わりだったと言う』に変えれば少しは感じが変わるかなぁ。
あー、多分女の語りと思われる部分の最初を少し変えるだけで方がいいのかも。
最後まで読んでくださって、また評価もありがとうございました!
指摘もためになりますー!
追記
『女の記憶にある限り、最初に家出をしたのは五歳の時だったと言う。』に変えてみました。
これで少しはわかりますかね?
追記の追記
なるほどー。
その説明は必要と言えば必要ですが、たぶん不必要と言えば不必要なんですねー。
たぶん、この辺がエンタメと西向きの違いなのかなと考察した次第で。
他にもあったエンタメ要素を削った形なんですよねー。
いやー、表現って難しい。
確かにわかりづらくもあるんですけどね。
そうか、男の視点とは読み取れていたのか。
なら最初の形に戻してもいいのかな。
編集済
南風への応援コメント
こんにちは! 水木レナです。
感情を排した、淡々とした語り口調で、この世の地獄を描き出した作品ですね。
「私」はヒロインのことを、神になりかわったかのように語っています。
一時に知りすぎてしまったために、どこにどう感情をふりむけていいのかが、わからないのではないでしょうか。
ただ、そこまでヒロインのことをよく知ったのならば、この二人は、あるいはヒロインがそこまで「私」を信頼できたのならば、別れを告げるようなことはしなかったのではないか? 柵を越えずにすんだのではないか? 一緒に南風を感じていられたのではないか?
ヒロインはどんな気持ちで屋上に立っていたのでしょうか。
わたくしも虐待サバイバーです。
親のことを口にしないようにしていたら、まわり中、同じ境遇の子たちばかり集まっていました。
増えていくあざ、寡黙な人柄、壊れた笑い声、震える唇、威嚇するような声、みんな同じでしたよ。
みんな悲しいほどやさしかった。
でも、こんなことを言う子もいました。
「親が年老いたら、今度はわたしが虐待してやるんだ」
やりかえしてやるんだ、と。
おそらく、その子の前にボストンバッグが現れたら、同じことになるのでしょう。
ほんとうには、わかりませんが。
その人が負った傷の痛みの大きさや深さは、痛みを与えた側や、第三者が語って良いことではないと思うのです。
――つらかったね。
作者からの返信
語り手が女を救えたのかどうかは誰にもわからないですね。
ただ一筋の光であったとは思うのですけど。
最後まで読んでくださって、またレビューもありがとうございました。
南風への応援コメント
さっきのお話とは打って変わって、雰囲気がとてもシリアスで、しんっと物静かな空気。
淡々と事実を述べられていくからこそ、よけいに女が歩んできた背景が鮮明になって胸を抉られていきました。死にそうです……。
ある女の一生が、とても短い文章なのに、まるで一本の映画でも見たかの様な心地になりました。
凝縮が凄い。
ありがとう、コートを掛けてくれて、を含めた一文が好きです。
札束が紙吹雪の様に舞う、「南風」と書いて「はえ」とあえて読ませる部分がとても印象的でした。
きついのに、何度も読み返してしまいましたよ……。
普段見ない珍しい作風で、かなりずどんと胸にきたお話でした。
私には書けそうにない文章なので、尊敬します。
作者からの返信
この話は色々と説明を省いているんですが、色々なことが絡み合って結果ビルからの……となっています。
女はずっと父親の世話をしていたのになんで逃げたのか?
お金を拾ったからなのか?
最後に逃げた理由はなんなのか?
この結末になったのはなぜなのか?
その辺を感じ取ってもらえたら幸いです!
最後まで読んでくださって、また評価もありがとうございました!