一般高校生の模範的異世界生活

@Yukibjmg

序章

第1話 誕生日1

今日の日付は9月9日。


俺、秋葉椛あきばもみじの誕生日だ。

俺は16歳となり、そして今日、命日となりそうだ。


プァァァァア!!!!!


アフリカ象の何倍もの音で右手から電車が突っ込んでくる。

俺は朝、電車を待っていると電車が駅に向けて減速し始めた瞬間、突き落とされたのだったら。

最悪だ。

突き落とされた表紙に宙で体を反転させて振り返ると、人混みの中から2本の腕が突き出ていた。

間違えなく他殺だろうな。


あーあ。

やっぱり神様っていないもんだな。

なんて高校一年の俺に心の底からそう思わせてるこの世界は、狂ってる。


神様なんかいたら戦争だって起きないし、死人だって助かるだろうし、何より大切な人を失わない。

このセカイはゆっくりと俺達人間を騙してるんだろう。

宗教なんてそうだ。

神がいると騙されてんだ。

俺が、神様を嫌いな理由か?

話せば長くなる。

だがこれだけは分かる。

神なんか信じたって無駄だ。


本当にクソだ。

せめて、せめて、妹の結婚式がある頃ぐらいまで生きていたかった。


これが走馬灯とやらなのか、時間が極端にゆっくりと動いていると錯覚する。

電車が突っ込んでくるまではかなり時間がありそうなので、自分で過去を振り返ってみる。


幸せな、パパとママがいる普通の日常。

それは一気に崩れる、と俺は知ってしまった。


俺の両親は3歳下の妹を産んでまもなく、入水自殺した。

馬鹿げてるだろ?

3歳の男の子と0歳の産まれたばかりの赤子を置いて自殺するなんて。

理由は簡単だ、俺がパパとママだと思ってたものはおぞましい何かだった。


俺のパパとママは、へんな気持ち悪い宗教にのめり込んで内乱罪という前代未聞の大罪を犯した。

それがバレる直前にパパとママは自殺した。

言ったろう?神様を進行してるやつ程騙されるんだ。

パパとママは、神のお告げが来た!!とか言って反乱を起こしたそうだ。


クソ野郎だろ?

吐き気がする。

同時の俺は何故か起こってる事が理解出来た、故に俺の心に深くそれは突き刺さった。

その時、俺には家族は妹だけだった、あんなの家族じゃない、日本の人々を危険に晒そうとしたゴミ共だ。とそう理解した。


そんな、これから先、生きていく上でクズ共の汚名を背負っていくことになった俺達を、クズ共の産物だった俺達を、親戚もおらず身寄りのない俺達を引き取ってくれたのが近所のじいさんばあさんだった。


じいさんは近所の工場を経営していた。

さほど裕福じゃなかったが、仕事ぶりとその丁寧さは大企業からも絶賛されていた。

たまに、近所の商店街のおもちゃ屋さんに連れてってもらった時は「なんでも好きなもん買え!!じっちゃんが買ったる!パパがいない分じっちゃんが買ったる!」そう言って強引にぐしゃぐしゃと俺と妹の頭を撫でるのだ。

俺はそれが本当に好きで好きで、俺が守りたいと思うのは必然だった。


ばあさんは優しくもあり厳しくもあった。

ばあさんのご飯はとっても美味しく、それを楽しみに毎日を過ごしていたほどだ。


あの頃、仮初のパパとママを失った俺達には本当の家族がいた。

その時ばかりは神様に、ものすごく感謝していた。


俺はプロ野球が好きで、テレビでいっつも地上波放送があった時には見ていた。

俺はプロ野球を、球場で見に行きたいという夢があったが、じいさんの工場の手伝いの為ならば俺はその夢をを平気で捨てられた。

俺はじいさんの仕事の手伝いをしているだけで幸せなだった。


ある日。

金ねぇ癖に.........いつも無理してるくせに.........9月9日に俺の机に1万円とプロ野球のチケットがあった。

そして、1枚の手紙があった。

そこには、【いつも、貧乏ばっかでごめんね、、いつも誕生日、ケーキもプレゼントも買ってやれなくて、流行りのゲームも、あなたの好きなところに行くお金もやれなくてごめんね】と書かれてあった。

馬鹿野郎.........

手紙のペンのインクが頬を伝った何かで染みて歪んで見える。

その次の日、俺はプロ野球を見に行ったあと、貰った1万円でじいさんばあさんが欲しいと言っていた掃除機を買ってきた。

1万円じゃ、対していいものでもないくせに俺は買ってしまった。

それは、俺にとっての誕生日プレゼント。いやいつも貰ってる幸せはの笑顔なのだ。

それを見るためなら何円注ぎ込んでも辛くなんかない。


買った掃除機を手渡すと、じいさんばあさんは俺に怒った、自分の好きなもん買え!と。

でも、俺が本当に好きなのは家族の笑顔なんだ。

照れくさいけど、そう言ったらじいさんばあさんなんか泣いてんだよ、アホだろ。笑ってろよ。

とかゆう俺もな.........


まぁ、なんだかんだ月日は流れ俺が中学を卒業した後、俺は高校進学、妹は中学進学を控えていた。

金がいる時期で、じいさんばあさん達は必死に働いていた。

それが俺は申し訳なくて、俺はこっそりバイトを始めた。

自分の金くらい自分で稼げと思ってな。

高校進学までの休みの間、朝から晩までな。

このお金で自分の食費等に費やし、余った金でじいさんばあさんに何か買ってやるんだ、そして、妹もオシャレなんかしたいだろうし妹のためにも頑張った。

俺は家族の為ならばなんでも出来ると思った。

じいさんばあさんは俺が何日も朝から晩までバイトしていることに気が付かなかった、いや、俺が隠したまんまでいた。

何か買ってプレゼントする時はやっぱりサプライズがいいもんな。


そのまますぐに時間は流れて、高校の入学式の日になった。

じいさんばあさんは俺を玄関先まで送り、こう言った。


「大丈夫!あんたならできるさ!!なんせ私の息子だからね!」

「当たり前だな!わしの息子だからな!」

「「行ってらっしゃい!」」


そう言って笑ってるじいさんばあさん。

俺は、息子と言われたことが嬉しくて、嬉しくてしょうがなくて、玄関を閉めたあと泣いてしまった。


式と簡単なホームルームはすぐ終わり、放課後となった。


バイトで貯めた金で、じいさんばあさんが欲しがっていた冷蔵庫を電器屋さんで買って、後日輸送して貰うことになり、ウキウキした気分で家に帰った。


そして、リビングで血だらけのじいさんばあさんを見つけた。






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