40 GAME IS OVER

 ついに立ち止まった。

 徳川准を失った三年四組の一行は、ついに戦意を失った。

 希望が粉々に砕け散っていた。

 もう前進できない。もうどんな敵も突破できない。もう終わりだ。

 GAME IS OVER。

 誰もの頭にその言葉が過ぎっていた。

 周囲にはだがまだ怪物達はうようよいる。

 今も遠くから、近くから獣のようなわめき声が聞こえていた。

 誰の剣も、武器も持ち上がらなかった。

 彼等はもう動けないのだ。

 なのに運命はどこまでも残酷だった。

 呆然とする彼等の上空から凄まじい咆吼が上がった。今まで一緒にいてくれた鍛えられた軍馬達さえ、逃げ散らせるほどの大きな鳴き声だ。

 口を半開きにしながら、らららは見あげる。

 翼の生えた黒いトカゲ。 

 彼女の印象はそんなものだ。空を飛ぶドラゴンに対しても。

 ドラゴン。この世界でも神に継ぐ最強格の生き物だ。

 誰もが挑み、誰もが敗れる。

 それ故に伝説のベールに厚く包まれた究極の生物。

 そのドラゴンが三年四組の真上を飛んでいた。

 しゅうしゅうと時折炎の息をちらちらと口から吐きながら、空から彼等を観察していた。

 当然、友好的な出会いではないだろう。

 がさがさと周囲の草が踏みつけられる。

 オーク達だった。オーガーも、ゴブリンも、ワージャッカル達もいた。

 リーダーを失い馬を失い、もう用を成さなくなった馬車のワゴンの前に立つ彼等は、完全に包囲されていた。

 上空も含めて全方位だ。

 だが誰も反応しなかった。

 彼等はただ終わりを持っていた。 

 しかしその中で一人我に返った物がいる。

 斉藤和樹だ。

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