初夏のホットコーヒー

夏のホットコーヒー

1

 「青太郎、」


 呼ばれて、読んでいたレポートから顔を上げる。


 「ロウ、」


 旧知の…つい一週間前に十年以上にわたるルームシェアを「新居決めたわ」のひとことで解消させた男が、こちらに軽く手をあげていた。




 五月闇にまだ海が霞む七月。


 それでも晴れてしまえば真夏日で、梅雨の中休み、雲の向こうではすでに夏の顔をしていた太陽が、

 空を、海を、

 真っ青に映していた。


 鎌倉から葉山へ抜ける一三四号線沿い。


 逗子海岸手前、オールオープンのcafe mellowのデッキには、いよいよ夏の陽射しにワンラウンド波と戯れてきただろう初老の男性たちがサーフトランクス一枚で、ビールを手にアフターサーフを楽しんでいる。


 真夏先取りの気持ち弾む空気の中、オレは、

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