第65話 五本の指に入る美しい女性になるだろう

 それにしても、フランと出会って約四年。


 子供の四年間というのは大人と違ってかなり見た目が変わっており出会った当初と比べて大分身長が伸びているのが見ただけで分かる。


 前世で言うところの幼稚園の年長組または小学一年生が、小学四〜五年生になるのだから当たり前なのだが成長したの身長だけでまだまだ子供といった感じである。


 こっからの四年間で第二成長期に入り一気に大人びて来るのだろうが、フランは間違いなく帝国でも五本の指に入る美しい女性になるだろう事が現段階で分かるほどには整った顔立ちをしている。


 その事からも家柄からでも婚約者は選び放題であろうにも関わらず、いまだに俺との婚約を解消しにこないので『もしかして俺はこのままフランと結婚するのだろうか』と考えるようになってきた。


 それは同時にスローライフ計画を当初俺一人だった所をフランと二人に変更することも視野に入れなければならないという訳である。


 流石にフランを働かせる気もなければひもじい思いをさせたいとも思っていない。


 俺だけであるのならば少しくらいひもじくても働かないで生きていけるのであれば我慢できたのだが、そうもいってられなくなってきた。


「それで、ローレンス君ももう十歳。 挙式はいつにするかね?」


 というのも俺がこうしてフランとのこれからについてここ最近よく考えるようになった最大の原因が、フランが俺の元から離れた時はここ最近決まってフランの父親であるダニエルが話しかけてくるからである。


 別に話しかけてくるのはいいのだが、何故毎回フランとの挙式を直球でぶっ込んでくるのだろうか? そもそも『それで』ってどれに対しての『それで』なのだろうか? 『まさかとは思うけれども、私の可愛い娘のフランとの婚約を破棄なんかしないよね?』からの『それで』としか思えないんですが? ダニエルさん。


「そうですね、まだ僕は十歳なのでまだまだお互い成長してから結婚しようかと思っております」

「なるほど。 でも早い所だと十三歳前後で結婚するものもいるのだけれでども、ローレンス君は一体何歳で結婚するつもりなのか、教えてはくれないかね? なんなら私が結婚の日取りや挙式を上げる場所を決めても良いが、どうだね?」

「いえ、それには及びません。 そして挙式などの代金も半分は僕が責任を持って費用は支払いいたします」


 そしてダニエルさんはさらに攻めてくるのだが俺はあえて挙式の日にちなどには触れず、費用は半分負担する意思をちゃんと伝える。


 そして半分はらうと言った理由は『こちらの半分支払うので勝手に決めないでいただきたい』という意味もある。


 ちなみに挙式にかかった費用を全額支払うと相手に失礼(貴族間での結婚の場合はそんな金額も払えない貧乏人という嫌味になる場合がある)になる場合があるため基本的には半額負担が常識ともされている。

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