第43話 一周回ってバカなのでは?
そう俺が説明するとお父様もお兄様も『何故マリアンヌのスキルで特産品が生まれるのか?』という表情をしていた。
確かに、事前にマリアンヌが何故気持ち悪るがられていたのか知っているお父様からすれば訳がわからないであろうし、お兄様にしても生産系スキルでもないのに特産品を作ると弟が急に言い出したらそんな表情もするであろう。
しかしながらそれもこれもまだこの世界には細菌やウイルスといった概念が無いからであり、こればかりは仕方がない。
ある種、前世と違って変に魔術が発展しまっている故の弊害でもあるのだろう。
しかしながらこんな事でへこたれる俺ではない。
予めこうなる事くらいは予想していたのでむしろ予想通りと言っても過言ではないだろう。
「そうです。 特産品でございます。 それも酒と調味料の二つのジャンルで種類にしては酒を一種類、調味料を三種類から作って行こうと思っております。 そして調味料という事はここタリム領を食の部分でも観光地にさせることが可能でございますし、それを実現させるだけの自信が僕にはあります」
そして発酵食品でいえば納豆やヨーグルトもそうなのだが、鰹節、既にチーズは存在するのだが、作り方は門外不出である為に他領のチーズ職人にしか作れない。それが今後このタリム領産のチーズを作る事もできるのである。
お酢は既に存在しているのだが、米酢はまだないのでそれもその内作ろうかと思っている。
そこまで話した所でお父様とお兄様は「チーズも作れるようになるのかっ!?」と声を揃えて食い気味に俺へ聞いてくる。
そもそもお父様もお兄様もそこまでチーズが好物という訳でもないので疑問なのだが、ここで首を突っ込んだらややこしい事に巻き込まれそうなのでなんでそこまでチーズが作れることに食い気味なのかはあえて聞かないでおく。
藪を突いて蛇を出す必要もないだろう。
「え、ええ、そうです。 それも複数種類作れるようになるでしょう。 もちろんその他領地にいる数少ないチーズ職人の生活を守るために作り方は我々も門外不出にしなければなりませんが」
「わかった、作ろう。 いや、金ならば惜しまないから作ってくれないか? 勿論他の件についてもコチラが支援しよう。 しかし、その代わりと言ってはなんだがチーズから作ってはくれないか?」
「それは構いませんが──」
「ありがとう我が弟よっ!! 因みになぜチーズが必要かというととある貴族の令嬢が事もあろうにが我が領地にチーズ職人がいない事を馬鹿にしてきてつい売り言葉に買い言葉で『チーズくらい秘伝のレシピが残っているからいつでも作れる」と反論してしまって途方に暮れていたんだよ」
お兄様は頭が良過ぎる為に逆に自分でも作れるとでも思ったのだろうが、一周回ってバカなのでは? とつい思ってしまう。
後、藪を突いてもいないのに蛇が出てきそうなのですが、気のせいでしょうか? お兄様。
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