第41話 馬鹿な事を言わないでください


 マリアンヌのスキルを聞いた瞬間、俺は日本人としてのソウルがメイトしてバーニングからの何やかんやで食い気味に彼女が欲しいと声高々に宣言していた。


 そもそも、この世界に来て六年である。


 それは言い換えると六年間も日本食を味わえていないという事でもあるのだ。


 流石にもう日本食の事を考えると禁断症状が出てき始める為心の奥底へと押しやって思い出さないように封印していた程である。


 それが、彼女のスキルがあれば全て万事解決では無いか。


 しかも、彼女のスキルを理由に各種調味料や日本酒を作るためにお父様へ製造施設を作って欲しいとお金を前借りするための口実にもできる訳である。


 今までは作り方を知ってはいてもその工程が流石に子供一人ではとてもではないができないような物が多く、できて納豆かヨーグルトくらいのものである。


 ちなみに米や麦は普通に売っているのだが、そもそも納豆に合う調味料、醤油が無いにもかかわらず納豆だけ作っても仕方がないと断念していた。


 それら全てをこのマリアンヌを奴隷にできれば全てが解決するのである。


 買わないという選択肢はその時点で俺の中には綺麗さっぱり消え去っていた。


「あの、オークスさん? 聞こえてましたでしょうか? 僕は彼女を購入したいのですが」


 しかしながら、あれほどはっきりとマリアンヌが欲しいと言ったにもかかわらず、オークスからの返事がないのでちゃんと聞こえているの声をかけてみる。


「はっ、す、すみませんっ! 購入ですね。 かしこまりました。 すぐに奴隷契約の準備をさせていただきますので少々お待ちください」


 そして俺に声をかけられたオークスは俺がまさか購入すると言うとは思っていなかったようで、俺が買うという事を再度声をかけられた事により理解したのか即座に奴隷契約の準備に取り掛かるのだが、その表情はどこか嬉しそうでもある。


「本当に、私なんかを購入して大丈夫なんですの? 単なる同情というのであれば絶対に将来後悔いたしますので今回は私との契約をしなくてもいい──」

「マリアンヌさんとは契約をしない? 馬鹿な事を言わないでください。 あなたは僕にとってどんな宝石よりも貴重で、そして価値がある存在だから購入するのです。 同情なんかではございません」

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