第35話 …………はい?
そして奴隷商へ一週間後に向かう旨を書いた手紙を送り返すのであった。
◆
そして一週間後。
俺はお父様と一緒に奴隷商へと訪れていた。
「お待ちしておりました、ローレンス様、そしてウェストガフ様」
「お手紙、ありがとうございました。 それで、今回僕の為に取り置きしてくれた奴隷はどのような奴隷なのでしょうか? 手紙では書けない内容の奴隷というのもなかなか聞かないものですのでまずは奴隷についてお話いただきたいのですが」
流石に到着して早々奴隷の話というのもアレなのだが、今回のような特殊なケースは仕方ないだろう。 少々マナー違反なのかもしれないのだが今回ばかりは大目に見てほしい。
「えぇ、それでは奴隷の話をさせていただきます…………と言いたい所ですが、ここでは何ですからさらに奥にある部屋にてご説明をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「それは別に構いませんが、えらく慎重ですね。 今回の奴隷はそんなに聞かれたらヤバいものなのですか?」
「それはもう、ヤバいどころではありませんよ。 もし誰かに聞かれて外に漏れてしまった日には私は殺されてしまうでしょう」
そう奴隷商が話す内容を聞いて俺はもう既に帰りたくなっていたのと同時に、この奴隷商が今回の奴隷を俺に売りたい理由が分かった気がした。
バレたら死ぬような奴隷など誰も手元に置きたくないので早く手放してしまおうという魂胆なのだろう。
その旨を奴隷商に聞いてみると「確かにそれもありますが、それ以上に彼女には幸せになってもらいたいのです。 以前引き取ってもらったフレイムのその後は私も知っていますので、ローレンス様ならばもしかしたらという気持ちの方が大きいですね」と言うではないか
ちなみに前回の模擬戦を見ていた者達やこの奴隷商など俺のスキルか何かしらの能力の異常性を勘付いてしまいそうな立ち位置にいる人物達には例え勘づいても他言無用の契約を予め結んでいる。
そして奴隷商の話す内容からして、既に俺の持つ能力の異常性に気づいていると思って良いだろう。
おそらく今回の奴隷も何かしら身体に異常がある奴隷であるのは間違いない。
さらに奴隷商は今回の奴隷のことを『彼女』と言ったのを俺は聞き逃さなかった。 俺じゃなきゃ聞き逃しているね。
そんな事を考えながら俺とお父様は奥の部屋へと案内される。
「せっかく来てくださいましたし、勿体ぶるのも何ですから単刀直入に説明させていただきます。 今回の奴隷は隣国でございますカルドニア王国の第一王妃でございます」
「………………………………はい?」
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