第21話 聞き覚えのある声
◆
フレイムの完治祝いから一ヶ月が経った。
この一ヶ月で変わった事といえば新たにお母様を師としてフレイムが魔術を本格的に覚え始めたという事である。
因みにお母様の指導はかなり分かりやすく、そして壁に当たった時は答えこそは教えてはくれないものの自力で答えまで導き出せるようにヒントを要所要所でくれるのでかなりやりやすく、そして楽しいと言えよう。
たまに怖いけど、それは俺が無茶をしようとしたり基礎を無視しようとしたりというのが大半の原因なので自業自得なのだが、俺は一生お母様を怒らせないと心に誓うくらいには恐ろしかったと言っておこう。
そして今では何故基礎が大切かというのが分かるので基礎を飛ばそうとしたりしていた俺を叱ってくれ、きっちりと基礎から教えてくれたお母様には感謝している。
ただフレイムに関しては俺みたいに横着な事や馬鹿な事は流石にしないだろうと思うので、その点に関しては安心だ。
因みにフレイムはこの一ヶ月でメキメキと頭角を現して来ているので現段階から末恐ろしいと呟くと、それをお母様に聞こえていたらしく「ローレンスより全然マシよ。 でも、本当にこの子はドラゴノイドという恵まれた種族というのを加味しても凄いわね。 なんだかお母さん自信無くしてきちゃったかも」と言われるのだが、お母様はどこか遠い所を見ているように見えた。
それはさておきフレイムはお母様から見ても凄いと感じるほどの才能の持ち主という事は、そろそろフレイムを冒険者登録させても良い頃合いだろうと思い始める。
なんせ、俺が奴隷を購入した一番の理由が、奴隷に働かせて俺は田舎にでもひきこもって自給自足しながらたまに奴隷に稼いでもらったお金で過ごすという毎日を過ごす為だからというのも大きい。
そんな事を思いながら夢である田舎でスローライフを妄想していると珍しく昼間であるというのにお父様が帰宅してきたではないか。 珍しい事もあるものだ。
それも客人までいると言うのだが、その客人とは俺に会いに来たというので余計に珍しい。
心当たりがなさ過ぎて一体誰であるのか見当もつかない。
「今客間にいるからお父さんと一緒に行こうか」
「はいっ! お父様っ!!」
そしてお父様に連れられて客間へと入って行く。
「おっ、遅いですわっ! レディーを待たすなんてまだまだのようねっ!!」
その客間に俺が入った瞬間聞き覚えのある声が聞こえて来るではないか。
一体なぜフランがここにいるのか、そもそもフランが俺に会いにくる理由が全くもって検討もつかないのだから余計に意味がわからない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます