第14話 気のせいだろうか?

 もしかしたら元々彼女の魔蔵に欠陥がありうまく魔力を供給できていなかったという可能性もある為、もしかしたら魔蔵がこのまま回復していくにつれて彼女の扱う魔術も威力がましていき、行使できる魔術の種類も増えていくかもしれない。


 しかしながら分からないものはいくら考えても分からないので、そうなれば良いなと思いながら治療兼スキルの行使をしていくのであった。




 フレイムが目覚めてから一週間が経った。


 目覚めた当初は、関節が固まらないようにしっかりとケアはしていたのだが、それでも筋肉の衰えはどうしようもできず、半年間近く寝たきり状態であったフレイムは立つ事さえできなかった。


 それがたった一週間ほどで、今では歩くどころか走ることも、何なら空を飛ぶ事もできるまでに回復している。


 流石ドラゴノイドだと言わざるをえない。


 そんなフレイムは今、朝はメイド長に俺の側仕えとしてメイドのノウハウを叩き込まれ、午後からは俺の側支えとして護身術を執事長から教わるというハードな毎日を過ごしている。


 そのため少しハード過ぎて潰れやしないかと様子を伺いにきたのだが、その表情はイキイキとしており楽しそうなのでその必要も無かったと一安心である。


 ちなみに護身術は武術中心で覚えているのだが、元々運動神経が良かったのかドラゴノイドの身体能力も相まって成長スピードが凄いと早くも執事長から太鼓判を押してもらっているレベルである。


「あ、ご主人様っ!!」


 そして視野も広く勘も鋭い。


 今現在午後の稽古の邪魔にならないように隠れて一目見たら立ち去ろうと思っていたのだが、その一瞬をフレイムに見つかってしまったようである。


 フレイムは『ぱっ』と花開くように一瞬にして満面の笑顔になると、背中に生えた一対の立派な翼で俺の元までものすごい勢いで飛んでくると、「ご主人様っ! ご主人様っ!」と俺を抱き抱えて胸の柔らかさをこれでもかと伝えてくる。


「そんなに急がなくても逃げやしないからゆっくり来て大丈夫ですよ?」

「早く駆けつけた分ご主人様と長く触れ合えますからっ!!」


 うーん、元気になってくれたのは嬉しいのだが、妙に好かれ過ぎている気がするのだが気のせいだろうか?


「では、キリもいい事ですし本日の稽古はここまでにしましょうか」

「は、はいっ!! セバスさんっ!! ありがとうございましたっ!! 明日もよろしくお願いしますっ!!」

「ごめんないさい、セバスさん。 僕のせいで稽古を途中で終わらせてしまったみたいで」


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