第2話 とにかくそんな気分なのである






 あれから三年。


 流石に三年間もこの世界で過ごすと色々分かった事もある。


 まず初めに俺は恐らく前世では職場でのストレスと毎日の不摂生で死んでしまったのだろう。


 心臓麻痺か脳出血なのか何なのか分からないのだが毎日暴飲暴食に運動もせずブラック企業で抱えきれない程のストレスを与えられる生活をしていたのならば当たり前だろうと思う。


 そして次に今の俺の名前・・・・・・はローレンス・ウェストガフであり、どうやら貴族の生まれのようである。


 両親共に優しく理想の両親、そして理想の環境と言って差し支えないだろう。


 もしかしたら前世の俺を見た神様が不憫に思ってくれて、今世は好待遇をしてくれたのかもしれない。


 そしてこの世界は俺が生前ハマっていたVRMMOの世界に非常に酷似しているのである。

 

 この時ほど神様仏様に感謝した事は無いね。


 さて、話は戻すとして俺の五つ上には神童と呼ばれる兄上がいる。


 普通であればこの状況は実家稼業を継げないのでマイナス面であるのだがこの世界が俺がやり込んでいたゲーム(三年間すごしてきた限りでは)に限りなく酷似している事を鑑みればむしろ貴族の面倒くさいあれやこれやその他全てを兄上に丸投げできるという考え方もでき、正直言って俺からすれば願ったりかなったりである。


 貴族の煌びやかな世界を体験してみたくはないか? と聞かれれば勿論体験してみたいのだが、そんな事よりも俺は出来る限り今世においては働きたくないと考えておりそれは貴族の暮らしと比べるまでも無く、スローライフを俺は選ぶ。


 そもそも前世では文字通り死ぬほど働いたのだから生まれ変わってまで働きたくない。


 いくら稼ごうが死んだら無一文だと思えば働く気力も沸かない。


 もう、良いよね。 僕もう疲れたよ。


 とにかくそんな気分なのである。


 簡単に言うと前世の知識を生かしてできる限り働かずしてゆっくりのんびりと暮らす。


 これを第一の目標として今世では過ごす事こそが俺の使命と言っても良いだろう。


 とりあえずここがゲームの世界通りならばもう直ぐで俺も教会でスキルの儀を受けるので具体的なスローライフ生活方法を真剣に練るのは、自分が持つスキルが分かってからでも良いだろう。


 それまでは書籍で魔術の一つでも覚えていた方が有意義である。


 因みにこのスキルの儀なのだが、人は皆最低一つのスキルを持っており【火のスキル】ならば炎系統の魔術の威力が一割上昇し、【炎のスキル】ならば炎系統の魔術が三割上昇するといった感じである。


 そしてそれらスキルは多種多様様々であり、それこそ【騎士】のスキル等を引き当てる事が出来れば大当たりといった感じだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る