第4話 追い詰められるAさん
その次は、Kojiとメールのやり取りをしていたアカウントを削除した。3日間ほどは無事に過ぎて行った。これでもう大丈夫だろうとAさんは思った。すると、4日後、Kojiが客としてAさんの職場にやって来たのだ・・・。
Kojiは一階のロビーにいた。そして、案内係の女性と話していた。
用件は「1万円札を新券に交換したいんですけど」というものだった。
そして、「窓口に、斎藤基子(仮名)さんっていう人がいると思うんですけど・・・」と言った。前と似たような服装で、くたびれたポロシャツとジーンズの組み合わせだった。ぱっと見は普通のお客さんと変わらない。錦糸町は繁華街。客層は元々カジュアルな人が多い・・・だから、特別怪しくはなかった。
どうか私のところに来ませんように。
Kojiは番号札が呼ばれる前に、Aさんの目の前までやってきた。お年寄りなどはそういう人もいるのだが、割り込みだ。Aさんは何も言えなかった。
Koji はだまって手紙を渡した。白い封筒だった。裏はしっかり糊付けしてある。Aさんは生きた心地がしなかった。Kojiは別の窓口で両替して帰って行った。あとで、名前を見てみよう・・・対応していたのが、年配の人で怪しまれるかもしれない・・・。どうやったら見れるかな・・・。
そして、トイレに立った時に、その手紙を開封してみた。
「俺を無視するなんてとんでもない。このアドレスに昼休みに必ず連絡しろ。しなかったら、お前が出会い系サイトでサクラをやっていることや、出会った男とホテルに行っていることを勤務先にばらす」
そして、この間ホテルの部屋で撮られたと思われる、裸の写真が一枚入っていた。
Aさんは、何であんな馬鹿なことをしてしまったんだろうと激しく後悔した・・・。何でメールアドレスに連絡してしまったんだろう・・・。
昼休みになると、AさんはKojiのアドレスにメールを送った。
Kojiからすぐ返信があった。
「次の土曜日、銀座のマリオン前で」
Aさんは仕事の後、出会い系のサクラのバイトに行った。この間、Kojiに使ってしまった金を取り戻したかったからだ。食事で6000円、映画館で4000円、ホテルで3500円。Aさんの1日分の給料以上だ。
「どうしよう・・・」
Aさんは前の派遣先で知り合った友達に相談した。
「もう、警察に相談すれば?」
「警察に相談すると、出会い系のサクラのことを言わないといけないし。ああいうのは、ヤ○ザの資金源だっていうから、私がバラしたってわかったら、どうなるかわからないのよ」
「難しいわね、、、」
その友達の勧めで、探偵を雇ってKojiの身辺を調べることにした。次の日土曜日にマリオン前で予定通り待ち合わせ。
しかし、食事だけでホテルには行かなかった。「せっかく出て来たんだから、一万円払えよ」Kojiは言った。Aさんは言われるまま払った。また、出会い系で取り返そう。週5に増やそうと思っていた。探偵にもお金を払わないといけない。1回で100,000万円もした。
探偵の報告によると、Kojiは板橋区在住。実家暮らし。独身。仕事は警備員のバイト。会社員というのは嘘だった。会社員だったら、平日に銀行の窓口には来れないだろうとAさんも思っていた。
しかし、Kojiの素性がわかったところで何にもならない。奥さんがいるとかなら、「奥さんに言うわよ」と、いう話ができるかも知らないが、もともと失う物がない人には制裁の加えようがない・・・。
みなさんは、Aさんがこの後どうしたと思うだろうか・・・
友達頼んで、ヤ〇ザのふりをしてもらって脅す?
警察に通報する?
東京での生活を諦めて実家に帰る?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます