ホラギムの天正華人
雨宮小骨
ホラギムの天正華人
その天正球と呼ばれる大きなドームはこの世界のあらゆる場所にある
そこに多くの人間は入ることを能わず、入り込んだ人間は二度と出てこれず、いつしかそこに行くことを天に上ると称された
そして私も天に上る人間だったようだ。
天正球に惹かれ、いかなければならないと衝動を感じ、日に日にそれは増え、一つの天正球にたどり着く
子のころ叩いても何も起きなかったその扉は自然と開いて、そこは見たこともない金属の機械がゴロゴロと動いており、大小様々な機械が何かしらの活動をしている。
導かれるようにその中心にやってきたところ、そこには一人の華々しい人間がいた。
彼女は自らを華人と名乗った。
私は華人に何をしているのかと尋ねる。
華人はなにもしないよと答えた 。
ここはなんだい?と尋ねると、ホラギムの天正だと答えた。
彼女はそれの意味を理解してないみたいだが、それを以前ココに居た人から聞いたという。
そして彼女はその人は?ときくと。
そのうちわかるよ、と答えた。
そこから華人のいる場所にとまりつつ、天正球を歩き回る。
驚くべき大小の機械の塊に、大きいものから小さいもの、複雑なものから単純なもの、といった修理の関係があることに気づいた。
華人は答え合わせをしてくれる。それは正しいと
では私は一番小さいものは、一番単純なものはどうするんだ?と尋ねると、華人はそっと隣の小さな屑糸の布を見せた。
これを治すのだけは私がやる。
それでここの循環は終わりだ。
これさえ直しておけば天正球は永遠に継続できるのだ。
私はその言葉の影になにかがあるのを感じていた。
しばらくして、華人に帰りたいかと聞かれた。
私は天正球から離れたくなかった。
華人はそうか、といって一つの部屋に来てくれた。
そこは今まで華人が入れてくれなかった空間で外で言う医務室のようなものだ。
華人はそこで治癒をうけると、おおよそすべてが昨日のように戻った。
いのちは永遠だよ。しかしね。華人の続きの言葉はなかった
華人が消えた
天正球の意思と正体が頭に飛び込んでくる。
ここは、完璧に作られ、人間を維持しつづけられる施設。
そして維持し続けることで人類の存続をし、来る災害に備える施設。
しかして、完璧な循環にも一つだけ欠点があります。
それは、資源が外から追加しなければいけないこと。
ほんの少しだけ、少しずつ摩耗するのです
なので天正球は一つの仕組みを作成しました
この世でもっとも調達しやすい物資を外部から取り込むのだと
そしてそれは、この天正球の目的にも合致しています
私は華人がいなくなった理由と
手元にある彼女の指輪の裏に書いてあるメッセージを読んだ
それから私は何百年ほどこの天正球にいる
頭の中に入ってくるメッセージによると
そろそろ摩耗し、新たなる物資が必要だと通達されている
ほんの少し笑った
永遠を作るための施設でも、私には寿命があるのだな
自嘲の言葉とともに、その訪れた少年を見て
私は華人だ、と名乗った
_______________おわり
ホラギムの天正華人 雨宮小骨 @oozoraringo
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