雨と猫とててと

てて

第1話 2022 4/28 雨の日の出会い

 2022年4月28日、私と4兄弟の出会いは突如として訪れた。大学生である私はある用事のため雨の中、車を走らせていた。本当は行くのをやめようと思っていたのだが、なぜかその日は行かなくてはいけないような気がしてあまり気乗りはしなかったが用事を済ませようと車を走らせていた。ふと視界に黄色い傘を差した小学生が二人と警察が歩道に立っていた。そのうちの一人の小学生が、私の知り合いの弟だったため、私は車を道の端に停め話を聞きに行った。そこで私は4兄弟と出会った。尿まみれの発泡スチロールの中で目も空いていない、へその緒も付いた、小さな小さな子猫が4匹、身を寄せ合って弱弱しく鳴いていた。その4兄弟は捨てられていたのだ。生後1週間も経っていないであろう4兄弟は素人目から見ても弱っていて、一刻の猶予もないのが分かった。警察の人は「犬は引き取れるが猫はちょっと、、」とあまり芳しくない態度を、小学生のおばあちゃんらしき近所の人も「うちはちょっと、、」そんな言葉と態度をされた。ここで自分が動かないとこの子達は死んでしまう。そう思った私は自分の車から箱(教科書を入れるために使っていたもの)とその日着ていたカーディガンを持ってきて子猫たちを発泡スチロールから移した。そして「僕が引き取ります」と言って警察に名前と連絡先を告げ、子猫たちを車に乗せ動物病院に向かった。道中、いくつかの動物病院に電話をかけた。「子猫を拾ったのだが衰弱しているから診てほしい」と。それに対して心無い言葉が返ってきたり、アドバイスが返ってきたがどこも診てくれるという返答はひとつもなかった。今思えば生後間もない子猫にできることなどなく、温め、ミルクを与えるしかない。しかし一番最初に電話した動物病院の返答だけはいまだに胸に残っていてあまりいい思いは抱いていない。「哺乳瓶やミルクがあればうちでも見れるがほかの病院にしろ」ここまではよかった。しょうがないことだ。病院によっては子猫慣れしていない獣医もいるだろう。しかし受付の人に変わった直後、後ろで「捨て猫なんか診れるか」と聞こえたのだ。それが聞こえた瞬間私は電話を切った。何もできない自分が悔しくて目の前にある命に対して何もできないのかと辛くて涙が出た。その後もいくつかの病院に電話をかけ、貰ったアドバイスを試しながらほかの病院に電話を掛けた。6件目の病院でついに診てくれると言ってくれる病院があった。急いで連れて行って診てもらったが、やはり生まれたばかりの子猫にできることはないらしく、他の先生と同じようなアドバイスをもらえただけだった。私はその足でペットショップに向かい、ミルクと哺乳瓶と注射器を買った。家に帰る車の中で両親に電話をした。「猫を拾いました」それに対して老親の反応はどこかあきれたような、責めるようなものでした。その反応もしょうがないものだと私は分かっていました。自分が救える保証もない命に対してむやみやたらに手を出し、無責任にも、身勝手に延命させようとしているのですから。怒られ、あきれられるのは仕方のないことです。けれど電話を切った後、私は泣きました。何もできない自分と、猫は引き取れないといった警察と、命に対して軽薄な態度をとった獣医に対し恨むような思いを抱き、両親の冷たい態度に悲しくなり、けれども子猫を見つけ傘をさし続けてくれた小学生とできる限りのアドバイスをくれた獣医さんや、できることがないとわかっていたうえで診てくれた獣医さんに対して感謝をして、いろいろな感情がぐちゃぐちゃになりながら泣きました。泣きながら車をひたすらに走らせ家を目指しました。


※この話は実話であり私自身の体験と思いや感情、全て嘘偽りなく書いています。読みにくい文章だったかと思いますがここまで読んでくださった皆さんに感謝を。

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