第19話 選挙活動最終日はみんな頑張ったってお話。ポロリもあるよ

 放送を終えた俺は、放送委員のスザンヌさんが用意していてくれたパンを、放送室でスザンヌさんと食べた。


 放送室でスザンヌさんと別れて教室に向かうが、一組前の廊下に人集ひとだかりが出来て、何やらやたらと盛り上がっていた?


 何が有るのかと人集りの後ろから背を伸ばしてヒョイと覗いて見た……!? な、何ィ!?


「候補者演説会を見に来て下さ~い」

「ミレリア様を宜しくお願いしま~す」


 クラスの女の子二人とミレリア様? プラカードを持って選挙活動中……三人とも水着で!?


 ミアさんは白のフレアビキニにパレオを巻いている。胸元の谷間とパレオから見える白い足がとても魅力的だ!

 クラスの女の子は学院指定の水着で胸元は控え目に隠れているが、綺麗な足が目に眩しい!


 学院の廊下は一組から七組迄が真っ直ぐな廊下だ。


 二組の前にはコレットさんがピンクのフリル付ワンピの水着で集まっている男子生徒に手を振っている。

 一緒にいるのはレベッカさんとリリアンさん。二人とも学院水着ではなく、レベッカさんは赤いタンクトップビキニ、リリアンさんは黒の三角ビキニって! メロンがデカすぎてマイクロビキニ化してますよ! それヤバいから!


 四組前には水色の三角ビキニのソフィアさんとクラスの女の子、六組前にはソフィアさんと同じ水色の三角ビキニのルフィアさんとクラスの女の子達がプラカードを持って選挙活動をしていた。


 ……みんなが笑っている。明るい笑顔だ! 久しぶりに学院に来てクラスが沈んでいた。俺がその原因を作った……。

 でも今はどうだろうか。恥ずかしさに頬を染めていても明るい笑顔だ!


「皆さん! 一緒に講堂に来て貰えますか?」


 ミアさんの呼び掛けに集まっていた野郎共が「は~い」と賛同した。ミアさんを先頭に集団が動き出す。

 吃驚して棒立ちしていた俺の脇を通るミアさんが俺にパチりとウインクして歩いて行く。


 俺は輝く白い生肌の背中を見送る……。チッ! 野郎共がミアさんの玉の生肌をガン見してやがる! 全員ぶっ殺してえ!!!


 …………ん?


 俺の中から込み上げる怒りとこのモヤモヤ感は何だ? 初めて感じる心の熱さ? いったい何なんだろう……?



 午後一時となり一年三組の生徒会候補者達の演説会が始まった。講堂には全校生徒に近い人数が集まっていた……。


 やった…………。みんな来てくれたんだ……。講堂の壁際に立つ俺の所に三人の男子生徒がやって来た。


「大賑わいになったな~」

「ホント凄い人数だね」

「リック、マルセルにローランド。どうした? 何かあったか?」

「何かあったか? じゃねえよ! 有り過ぎだろ、この状況は!」


 リックが俺にヘッドロックをして頭を拳でグリグリし始めた。俺はリックのヘッドロックからスルリと抜け出して、俺がリックにヘッドロックをかける。


「アベル君のお陰だね」

「俺の?」

「アベルの話しにみんな感動したんだよ」


 俺が放送で話しした事は無駄じゃ無かったんだ……。


「違えよ!」


 油断した隙にリックが俺のヘッドロックから抜け出してしまう。


「野郎共は水着に釣られて来たんだよ!」

「ハハハ、まあそうだな」


 ローランドが笑っているが、確かに男子生徒はミアさん達の水着姿に付いてここ迄来ている。

 何故か腑に落ちない所もあるが、壇上のクラス女子全員が笑っているのだから、うん、リックが言っていた作戦は成功なんだと思う。そして水着姿のままでミアさんの選挙演説が始まった。


 ミアさんはこの学院の未来、今、そして自分達一期生が歴史を作るのだと、そして笑って卒業出来る学院にしたいと熱く語っていた。目がハートの男子もいるが、みんな真剣に聞いていた。


 コレットさんは白魔術師らしい平和で安全な学院作りを語り、ソフィアさんとルフィアさんは「「宜しくお願いします」」ペコりの一言で終わった? オイ!


 壇上のクラス女子達の元に戻るソフィアさんとルフィアさん。ん? ソフィアさんがニヤリと笑った?


「キャッ」


 何もつまずく要素の無い壇上でソフィアさんが躓いた? 前を歩くルフィアさんの肩に掴まろうとするが……的を外してビキニの紐を掴んでしまう。


 眼福ッッッ!!


 会場にいた男子生徒全員が間違いなくそう思った!


 ルフィアさんの三角ビキニが取れ、可愛いメロンがポロリと顔を出したのだ!


「キャッ、キャ~~~!」


 慌てて胸を隠すルフィアさん。しかし男子生徒は見た! 既に鼻血を出している男子もいる!


「チョっ! ソフィアー!」


 顔を赤くして怒り心頭のルフィアさん。ソフィアさんから水着を奪い返そうとして手を伸ばす。キランとルフィアさんの目が一瞬光った?

 伸ばした手はソフィアさんの胸に伸びる。上半身をスウェーして躱すソフィアさん。目測を誤りつんのめるルフィアさん。……あっ!?


 ルフィアさんの伸ばした手はソフィアさんの下の水着に引っ掛かり、腰の紐がほどけた……ガハッ!!


 見えた? いや、ソフィアさんの超速のリカバリーで見えなかった……気もするが……?


 しかし会場は男子生徒の鼻血シャワーで阿鼻叫喚の大惨事となっていた。昇天して行く男子生徒が次々と倒れて行く。


「ルフィアのバカーーーッ!」


 シュッと跳躍して壇上の袖に涙目で消えて行くソフィアさん。「ゴメ~ン、ソフィア~」とルフィアさんも袖に跳躍して消えて行った。一瞬ルフィアさんがニヤリと笑ったような気もしたが……?


 事件はそこで終わらなかった。会場にヒラヒラと舞うのは、ソフィアさんのビキニショーツとルフィアさんのビキニブラ……。風に流れて会場の方へと漂う……。


 鼻血シャワーで倒れた弱者達を踏みつけ、宙を舞う水着を目指して野獣の目と化した猛者達が走り出した! 隣のリックも既に動き出しているだとォ!


 ヤバい! ソフィアさんとルフィアさんの使用済み水着が獣の穢れたよだれで汚されてしまう!!


【加速視】ィ!!


 俺は紫色の魔眼封じの眼鏡を外し、時間を伸ばす。ゆっくり流れる加速時間を全力で走り、トップとショーツの水着をキャッチした。サッサッと元いた位置に戻り、水着はポケットに押し込んだ。魔眼封じの眼鏡を掛けて「ふ~」と一息つく。


 見れば突如消えた水着に男子生徒達が狼狽している。残念ながらリックもだ。お前らには絶対わたさん!!


「今のが加速視か」

「……見えた?」


 水着を追い掛けなかったローランド。どうやら俺の動きが見えていたらしい。


「俺は襲歩を使うからな。速い動きには目が慣れている。とは言え残像しか見えなかったよ。凄いスピードだなアベル」

「いや、見えているローランドも凄いよ」


「クソ~、お宝が消えちまった~」

「残念だったね、リック」


 悔しがるリックが涙を流しながら戻り、マルセルが笑いながら肩を叩いた。泣くなよ!


 最後はドタバタで終わってしまったが、ミアさん、コレットさん、ソフィアさんとルフィアさんの演説会は無事終了した。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る